今回は東京同友会の株式会社ねぎしフードサービス根岸社長にご報告いただいた。あの「牛たんねぎし」と言えば、恐らく知らない人は居ないのではないだろうか?と思うほど、牛たんに麦めし・ととろを組み合わせたパイオニア的存在であり、各種メディアに多数出演・講演をされているカリスマ経営者である。
100年企業とは永続性のことであり、企業は組織であり、ただの集団とは異なる。その為には理念の共有、目的・目標を明確にする必要性があり、その為の経営指針を毎年、各店長自身が半年間掛けて作成することで、自分事としてプランから参加することになり、より現実的で目的意識が高まり、人財成長に繋がるのだという事を氏は分厚い経営指針を片手に掲げながらお話してくれた。
また数多くの各種受賞歴もあるが、結果ではなく、あくまでプロセスを重視しており、目標に向け社員一丸となり取り組んでいく過程で、人が成長する社風が生まれるのだという。
過去2度の狂牛病、昨今はコロナにより、外食産業も大きな痛手を負うが、氏は「ピンチこそチャンス!」とし、新しいヒット商品を生み出してきているのも、チャレンジ精神が社内に浸透し実践できているのが大きな要因であると感じた。
これからは「量より質の時代である!」と語る中で、コミュニケーションだけは圧倒的に量が必要と氏は語る。その為に社内に定期的な会合以外にも様々なイベントが仕組化されて実施されている。また何か不手際が起こった際も、人を責めるのではなく仕組で改善をするというのも、あくまでプロセスに重きを置いているからの事であろう。
最後に補足事項として50年前に仙台を中心に様々な業態を約20店舗経営していた時の話になり、当時は自身の経営を「狩猟型経営」と称し、経営者としての嗅覚を駆使し、東京で流行っているものをそのままソックリ真似る形で仙台に持ち帰り店舗展開をすれば、その全てが間違いなく大繁盛したという。しかし、廃れてくれば閉店。店もそこで働くスタッフも経営材料の一部として扱っていたという。
そんなある時、店舗で働くスタッフ9名全員が突然出勤しなくなるという事件が起こる。
連絡も取れない状況下、約一か月後に屋号だけが違う以外はメニューも全て一緒という店が約50m先にオープンする。そしてその中にはその9名の姿が・・・謀反である。
氏は暫くの間、寝込むほど大きなショックを受けたというが、この事件が後の考え方に大きな影響を与えるキッカケになったという。
自分が働く人をモノと捉えていた結果が、自分に返ってきただけであると反省し、この出来事を機に人材から人財へと考えを改め、現在の「農耕型経営」にシフトしてきたという。
「農耕型経営」、時間は掛かるが土から耕し、種を撒き、大切に育ていく工程を氏はそうと呼ぶ。何事も時間と労力を惜しまず、薄皮一枚づつ重ねるが如く、凡事徹底を貫いてきた結果が今に繋がると氏は会を締め括り、会は閉会となる。
(文責:有限会社レインボウ・クルー 代表取締役 橋本 幸光)