2023年7月19日、ダイバーシティ委員会としては初の湘南支部との合同例会が開催されました。テーマは「ひとり親家庭の子どもたちと親たちに私たちは、地域は何ができるのか」で、社会福祉法人旭児童ホーム児童家庭支援センターおおいけセンター長の奥山秀二氏が「ひとり親家庭」の現状や、私達経営者ができること、などについてご報告くださいました。
児童家庭支援センターは虐待等のリスクが高いなどして児童相談所の保護が必要になる一歩手前で踏みとどまっている家庭への在宅支援を行っている場所であり、奥山氏がセンター長を務めている「おおいけ」では横浜市旭区全体の約30家庭の支援をされています。
「おおいけ」で支援をされている9割5分の家庭がひとり親家庭であり、そのうちの3分の1がDVを受け知り合いのいない町に子ども達を連れ逃れてきたため知り合いもおらず孤立が起きやすくなっています。
全国では、現在約200万世帯の母子家庭があり平均年収は272万円ほどだといいます。
対して父子家庭は15万世帯ほどで平均年収は518万円ほどだそうです。ひとり親となった母親は育児の大変さや収入の低い仕事へのストレスにより子どもに手を挙げてしまったり、精神疾患を患ってしまったりケースも少なくないといいます。「おおいけ」ではそのような様々な家庭と伴走しながら支援を行うことを心がけておられます。
奥山氏が企業に求めるのはひとり親家庭の親、そして子どもたちと地域で「つながりをもってほしいこと」です。特に働き方や仕事内容について配慮や工夫があれば戦力として活躍してくれる親は多くいて、でもそうした企業と出会えていないことでせっかくの可能性がもったいないことになっているとおっしゃっていました。
グループ討論は「ひとり親家庭の子どもたちと親たちに私たちは、地域は何ができるのか」をテーマに行いました。
グループ発表ではダイバーシティ職場体験協力企業マップのようにひとり親家庭就労受け入れマップを作るのはどうかという意見がありました。
様々な事情で勤務時間や勤務内容にも制限がある親を積極的に雇用する意思表明をした企業をマップに掲載することで、仕事への必要以上の負担を減らし、家庭と子育ての両立を無理なく実現できる地域の雇用が増えていくことにつながります。ひとり親家庭で苦しんでいる親や子どもたちのために何ができるのか。社会的養護だけでなく社会的養育の大切さが実感される会となりました。
(文責:㈱フェアスタート 代表取締役 永岡鉄平)