製造業の三代目として先代から会社を引き継いだ当初、古参社員からは「人のヤル気をなくさせる天才」「私はあなたに雇われたのではなく先代に雇われた」と告げられ、周りからは社長として認められていない「自称社長」であった事に気付き、社員との関係改善に真摯に向き合っていく事を始めた中島氏。
一時は大量に幹部社員が辞めたりなどもあったが、現在は社員が会社を辞めない仕組づくりをしている。
いや、正確にいうと社員が「辞める気にならない!」という表現の方が的確かもしれない。
定年を迎える社員に対し、末永く安心して働ける環境を会社の別部門・新規事業として創造していたり、一般的に定着率が低いといわれる介護業界の常識も覆すような取り組みもしているという事もあると思うが、「この社長のいる会社で働いていたい!」と思わせているのが一番大きな要因ではないかと感じる。
人が辞めない環境を作る事で定着率を上げ、結果、人財育成と採用に掛かる労力・費用が減り、毎年業績も伸ばしている。先行き不透明なVUCAの時代にあって、社員が夢や希望・遣り甲斐の持てる職場であり、親子で働いている社員が5組もいるというのも会社に将来性と信頼がある証拠であろう。現在は6社・NPO法人1社を経営しており、正に中島流「人を生かす経営」であり、今や「人をヤル気にさせる経営」となっている。
「自分の人生に人を巻き込みたい!」と熱く語る氏の情熱は、年に1個の新規事業を開業いている事に繋がるが、「半年で成果が出なければ一旦撤退!」という鉄の掟を社内ルールにしている理由も社員を不安にさせないという氏の配慮である。
氏が思う「良い会社とは何か?」という定義と、会社が大変な時こそ具体的なヴィジョンを指し示す事で社員との意識のズレを無くし、自発的・主体的に動ける組織として最大機能化させている。社員の何でも言えるという心理的安全性が組織に担保されている事も要因として大きいと思われる。
「幸せな社会を作る為に自分たちが出来る事」の一環として、市の緑地化計画にも貢献しており、介護事業の利用者さんと契約した数を市の公園に植樹する活動を行っている。
「成功の反対は失敗では無く、何もしない事!」という姿勢は、これからも周りに「ワクワクを楽しむ」という事と勇気・希望を与え続けて行くであろうと感じる例会報告であった。
(文責:有限会社レインボウ・クルー 橋本幸光)