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神奈川県中小企業家同友会
10:00〜18:00(月〜金)

[報告] 2024年10月 たま田園支部例会

テーマ:自社の経営と課題を語る!!
開催日:2024年10月18日(金)
報告者:(株)グローカルMA 代表取締役 福嶋信氏
    (有)アトリエアイズ 代表取締役 今井博康氏
    (株)半ざむ 代表取締役 佐保田篤氏
会場:麻生市民館 & Zoom(オンライン)
参加者:24名
たま田園支部10月例会

たま田園支部では支部を3つの分会とし、それぞれの分会でより密な関係が作れるような工夫をしています。今回の報告はそれぞれの分会から新会員に報告をお願いしました。3名とも快く引き受けてくれて、持ち時間15分の中で自社報告をしてもらいました。

トップバッターはグローカルMAの福嶋社長で、高校時代はラグビーに明け暮れ、大学時代は哲学科で学び、競技スキーやヨットにも夢中になっていたとのことです。社会人のスタートは中学校教諭や、ワーホリでカナダで牧場やスキー場で働き、世界一周の放浪など、かなり話題に尽きない人です。帰国後は広告代理店勤務で子会社のネット広告代理店に出向し、後にナスダックにも上場の創業メンバーになり、その後独立して、カナダで会社を設立、中国でネット広告代理店を立ち上げるなど、目まぐるしい経歴を持っています。

2回目の独立としてグローカルMAを立ち上げ、現在4期目に入りました。ビジネス内容はBtoCマーケティングオートメーション(MA)業務支援でM&Aとは無関係です。課題は人材採用、中小企業の利用促進、MA業務を知ってもらうことなどあり、同友会の地域密着企業にそのネットワークを活用し、Win-Winのビジネスを考えているとのことです。
共同求人にも9月から参加をして、学生採用にも積極的です。福嶋さんはとにかく事業展開のスピードが速く、積極的に行動をしている姿は見習いたいと思いました。

たま田園支部10月例会

続いては建築設計事務所のアトリエアイズの今井社長の報告です。学生時代は映画が大好き、美術部に入り、理系+美術で設計事務所への道を進み始めました。ハードな仕事で転職も何回か経験し、資格がないことへの危機感から、猛勉強をして、資格を取得し、仕事が回りだしたとのことです。一級建築士の資格を持つ今井社長はマスターカラーセラピスト、木育インストラクター・文化財ドクターの資格もあり、単なる設計ではなく、デザインを意識した設計で各都道府県の特徴のある建物の設計に携わり、特にパチンコ業界の仕事がかなり増えてきていました。しかし、少しずつ仕事に陰りがでて、大手のコンサルに聞いても「何でもやりますではなく、特化しなさい」との助言もそもそも特化していたから悪くなっているのに」とあまり参考にはできなかったそうです。

その後リーマンショックや本人の入院、東日本大震災などで、事業が完全にストップしてい、東北へのボラティア活動を通して、「他人事ではない、明日は我が身、地元を大事に」という思いが強くなり、地元のネットワークを広げ、職能を活かそう!という発想から商店街のまちづくりへの貢献や川崎市の児童福祉施設などの受託業務、小学校の外装リノベーションなどで川崎市地域密着に方向転換をし、経営も安定、そこで気づいたのは「特化できる強み・専門性を持ち、かつ、すそ野を広げろ!」でした。

課題としては25年の省エネ法大改正、技術革新・DX、働き方改革、持続可能な社会の創造などがありますが、常に「拡張」し続けなければ存続は難しいと考え、エリアを神奈川県の公共施設まで広げ、実績用途の拡大を目指しているそうです。また、自分たちが本当にやりたい事も常に模索をしている様子でした。常に変化する状況で厳しい状況でも柔軟に考え方を変化させ、そもそも自分たちの本質をわすれずに事業を行っているアトリエアイズの企業風土には感銘を受けました。

たま田園支部10月例会

最後は株式会社半ざむ佐保田社長の報告です。半ざむは川崎市登戸に本店がある、寝具・オーダーカーテンの販売中心の創業146年の老舗企業で、たま田園の会員の中にも枕の愛用者が数人いました。佐保田社長は子供のころから布団屋を志していて、社会人になってから呉服のチェーン店に入社し、ブラックな実態と突然の会社倒産などを経験しました。失業保険を手元に海外経験を積み、その後の転機につながります。帰国後は静岡で寝具修行を行い、布団屋から眠り屋への脱却を意識しました。そうして半ざむへ2007年に入社しましたが、当初は母親と喧嘩の毎日で店でも浮いていたそうです。2017年、区画整理で新店舗ビルが完成し、海外での経験から枕・マットレスへ特化を図り、2020年に事業承継をし、現在に至ります。

課題としては、実店舗事業の寝具では集客で、2022年頃からチラシやDMの反応が極端に落ちている。実店舗のカーテンでは人の採用が進まない。EC事業では競争が激しく今後の打つ手に悩み中。縫製事業では人の育成に苦労していて、職人気質の人にどのようにデジタツール活用してもらうかなどがあるとのことでした。今後の展望としてはコロナ禍以降一般消費者は「眠り」への関心が高まっていて、寝具を通して「睡眠の改善」の提供が社会貢献の観点からも重要と考えているとのことで、研究の結果6時間睡眠を14日間続けると2日間徹夜したと同程度の認知機能の低下になるという、結構ショッキングな数値を見せてくれました。日本の睡眠時間は世界的に見ても少なく、その経済損失は15兆円にもなるとの発表でした。国内の企業においても睡眠の質が高いほど、企業の利益率も高いというグラフも見せてくれました。これからは睡眠の質を意識したビジネス展開を強化するとのことでした。どちらかというと、睡眠時間を削って仕事をしている方が社長として、良いイメージがあるのかなと思っている自分がいましたが、睡眠の大切さを改めて知る機会になりました。

報告が終わった後のグループ討論では、それぞれの企業の社外取締役になったつもりで、事業をどのように進めるかを話会いましたが、それぞれ多いに盛り上がり、お互いに勉強にもなって自社への置き換えを意識できました。

(文責:コアフューテック株式会社 松本正己)