第36回かながわ経営カンファレンス(以下かなカン)は、2024年11月16日に横浜みなと支部主催で開催されました。会場は、関内駅前に最近できたばかりの関東学院大学関内キャンパスです。参加者は337名、過去最高の集まりとなりました。参加された方は、かなカンで沢山の刺激を沢山受け、新たに挑戦したくなった、また学生に戻りたいなど、いろんな思いが沸き上がったのではないでしょうか。まずは1 cm前へ、今あなたは何を変えるべきですか!
今回はリアルのみで、会場には362名の参加者が集まりました。
恒例となったかなカンマルシェは、18社が参加。今年度は受付時と特別講演の前の2 回、購入する機会があり、多くの会員が購入していました。
また、受付時の資料に会員企業15社のチラシの配布され、各社の宣伝も行われました。
13階と14階の7 つの教室を使って行われました。自社が直面している課題をテーマとし、ふさわしい報告者にお願いして作った分科会です。解決するためのヒントを討論したのではないでしょうか。
全大会は、来賓を代表して横浜市長山中竹春氏よりご挨拶、横浜市の企業の99.6%は中小企業で、みなさんの頑張りが横浜市の経済に大きく影響します。脱炭素取り組宣言にもご協力お願いします。続いて副知事平田良徳氏は、大規模災害時にそなえて県独自の融資メニューをこの9 月から創設いたしました。いつ起こるかわからない災害にたいしての備えも行っていいます、とご報告がありました。
1894年創業の130年企業の4 代目社長で現会長の高橋氏は、かなカンにあわせて“企業は地域に生かされている「地域の活性化から見えてくる千客万来」”というテーマでお話しくださいました。
第1分科会の前半は、座長に静岡同友会 三島支部 支部長の株式会社集客デザイン研究所 増田隼人氏を迎え、まず最初に、株式会社OVER20&Company(PROJECTany) 共同代表の糸井達哉氏、常葉大学 造形学部 /学長特命補佐教授の安武伸朗氏によるトークセッションから始まりました。
「日本は人口の減少によって経済活動が縮小していく、このままでは立ち行かなくなる。」「例えば静岡県三島市なども働き手が本当に少なくなっている。ホテルの従業員がおじいさんおばあさんばかりだったことにも驚いた。」今後の日本は、今までのような年功序列型では立ち行かないだろうという意見が出ました。
これからの社会では、一人ひとりがキャリアを上げて生産性を上げていくことが必要。また、社員を辞めさせないためにはどうすればいいかを実際の大学や企業、団体の話を例の挙げて進めていきました。
若手人材は、仕事の上で新たな発想などがあった時、自分を理解し、話を聞いて一緒に実現してくれる上司が一人いるかどうかで、モチベーションが大きく変わり、離職率も下がる。また、直属の上司が主観でボーナスを決めている。5年後などの成長を見出すのは直属の上司だからできること。その責任は経営者がとるという企業の事例も紹介し、人材を活かしたり、離職率を下げていくにはどのようにしていくべきかというセッションを進めていきました。
後半は、グループに分かれて、「ここで働きたい!」と思う、持続可能で魅力的な企業とは? というテーマ5つのグループに分かれてグループ討論を進めました。
各グループには、常葉大学 造形学部 造形学科の学生が一人ずつついて、グラフィックファシリテーションという手法を使って、絵や図を用いて、討論の進んでいった様子やポイント、結論などを表現して残していきました。
大学の教授、学生そして他県の同友会員という、普段あまりないコラボでの分科会幅の広い意見が聞け、新鮮でした。
<文責 有限会社デザインスペースマジック 佐藤慎治>
第2分科会は関東学院大学経営学部 福田 敦教授を報告者に迎え、今からたった6年後の2030年にわれわれ中小企業が直面するだろう少子高齢化が引き起こす問題とその中でどのように成長していくのかを解説、提言していただきました。
報告内容は主に「データから見る人口減少局面での経営課題」「社会・経済潮流の変化と必要とされる施策」「これからの日本の中小企業の成長戦略の提言」の3点でまとめられ、参加者は食い入るようにデータを見つめていることが大変印象的でした。
2030年、日本は国民の3分の1が高齢者となり、労働者不足が深刻化、社会インフラの維持が困難になります。不足する労働者の数は実に644万人にもおよぶという事実から、今からわれわれが行うべき経営の構造転換はどのようなものなのか、その概要が示されました。
続けて、国が行っている社会・経済の変化に対する様々な施策の解説があり、中でも実質労働賃金の増加に向けた生産性向上と価格決定力の向上について、データを用いた解説がありました。
次に福田教授の考える、これからの日本の中小企業の成長戦略の提言がありました。
また、福田教授からは中小企業家同友会は「地域の核となる事業者」になる可能性を持ち、持続可能な経営を目指す仕組みを考えられるのではないかと、われわれがこの先も考え続けなければならない問題提起もありました。
グループ討論では「2030年、人口減少に伴う市場縮小の中、自社でどのように収益を最大化するか?」をテーマに、KJ法を用いて、2030年に自社が収益を最大化する方法を付箋紙に書き出し、自社/他社の収益化のアイデアの発掘を行いました。
例会でもあまりない試みでしたが、お互いの意見やアイデアに対し、実例の紹介や、見えていなかった市場が見つかるなど理解が深まる良い討論となりました。
座長を務めた横浜総合行政書士事務所 藤森純一氏は、参加いただけなかった会員の方にも第2分科会で伝えたかったことがあると、寄稿してくれました。
寄稿にあたり、ぜひ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。私は経営者であり、労働者であり、小規模ながらも創業と事業承継を経験してきました。また、教育者としても活動しています。この地域で働き、暮らす一人として、そして日本で生まれ育ち、この国で最期を迎える一人として、今日は私の視点からまとめをお話しさせていただきます。
どのような業種、どの時代においても、日本の中小企業の経営者たちは、真剣に議論を重ね、日本の未来を描いていました。その意思は、私たちにも確かに受け継がれてきたはずです。しかし、現実はどうでしょうか?少子高齢化が進み、「失われた30年」とも言われるこの現状が、先人たちと私たちが想像していた未来でしょうか?
うしなわれた30年の間、私たちは知らぬ間に「今だけ」「カネだけ」「自分だけ」といった姿勢に陥り、社会の根本が変化してきたのかもしれません。この30年間、居場所づくりや仲間づくりといったことが目的化され、本来の経営や地域貢献を見失い、結果的に良い経営環境づくりをおろそかにしてきた側面があったのではないでしょうか。それは不幸だと私は思います。その歴史を、もう繰り返してはなりません。
先般、本分科会での福田先生のお話を通じて、私たち経営者や労働者が、さらなる可能性を信じて力を発揮できると感じた方も多いはずです。そして、グループ討論を通して、互いの可能性を信じられるようになったのではないでしょうか。
しかし、私が訴えたいのは、地域社会に共通の目的を持たず、自分の企業の成長だけに囚われ、他地域との競争にのみ執心するような考え方をやめるべきだ、ということです。人口減少は避けられない現実です。その中で、地域全体を豊かにするのではなく、自社だけの成長や労働力の奪い合いに固執して良いはずがありません。ここ横浜でさえ人口減少が始まり、地域の衰退が危惧されています。今、私たちは誰もが故郷や暮らしている地域の美しさや活気を取り戻し次世代に残したいと、願っているはずです。
眼前にある、ただ自分の欲求を満たすために、気心の知れた居心地の良い仲間内に寄りかかるだけでは、未来は築けません。仲間づくりや居場所づくりを口実にして、真の経営者としての責任から逃げていないか。地域の発展を考えず、自分や自社の成長だけを追い求める姿勢こそが「今だけ」「カネだけ」「自分だけ」ではないでしょうか。それこそが悪であり、中小企業の成長を弱めていると言えると思います。
だれかに依存し、求めてばかかりではいけません。域社会が衰退し、私たち一人ひとりの意識も変わりゆく中で、経営者と労働者の責任について、再び真剣に議論する時が来ています。
無為徒食とならず、私たちは弱者ではなく、自立した存在として、どのような責任を果たすべきなのか。この場で共に考え、未来への道を描いていきましょう。
しかし、運営側としては、若干心残りがある分科会となりました。それは運営側が分科会を終えた参加者が、「このままではまずい」という焦燥感を持って帰っていく、危機感を高める分科会にするという目標を持っていたからです。
この目標が打ち砕かれた原因は、福田教授の報告と各グループが非常に質の高い討論を行ったことであると考えられます。少子高齢化時代での明確な成長戦略を各社が思い描くことができたことは、運営側としてうれしい反面、どこか釈然としない思いも残すことになりました。
少子高齢化はまだまだ、進みます。これから各社がどのような成長戦略を描いていくのか、そのヒントになった分科会であったと思います。
<文責 株式会社アールジャパン 荒岩 理津子>
第3分科会では、「同友会で活躍・進化する一人社長 先駆者が語る、一人社長の同友会活用法と今後の方向性」と題し、一人社長と同友会の学びや関わり方について、3名のパネリストから報告がありました。
山田氏は、商店街や中小企業のブランディングという地域活性化を事業としていましたが、その頃、同友会会会員だった株式会社とらべるわんの大貫文男氏から同友会に誘われ入会。入会後は例会に参加はするものの、なかなか同友会の活用の仕方がわからないと悩んでいたころ経営指針を勧められ、入会後半年で経営指針作成部会を受講しています。
経営指針作成部会での学びは今も山田氏の経営姿勢を支え、常に目的や手段を考えるようになり、経営判断がしやすくなったと今も手ごたえを感じています。例えば、理念経営を意識すると自分の価値観や世界観が固まり、「何のために仕事をするのか」、目の前にある仕事をやる・やらないの判断ができるようになったと実感しているといいます。
また、同友会の組織運営に関わることで、一人経営者では得られない組織での役割の経験ができた、同友会を通じて人間的にも経営者としても素晴らしい方々との交流を持つことできることに刺激を受け、自分自身が大きく成長できたと力強く語っていました。
網野氏は、勤務時代に所属していた事務所から独立開業し、すぐに同友会に入会し、ほぼ同時に青年部にも積極的に参加するようになりました。
青年部ではそれまで関わることのなかった様々な経営者と交流を持ち、経営に関する熱い討論を交わす中、人を納得させるにはどのように話せば良いのかといった弁護士として必要なスキルを磨いていきました。
青年部の活動の中で、同友会会員の経営者が対外的には語ることのない本音の部分やリアルな悩みに触れ、仕事柄、中小企業の経営者と関わることが多い網野氏は、自身の仕事にうまく活かして学びにしていきました。
青年部卒業後は、広報委員会に関わり、取材という名目でより深い話を聞く機会が増えたといいます。
これらの経験は、網野氏自身が経営したことのない業種において、顧問先の経営者の悩みをよく知る手掛かりになり、説得力のある深いアドバイスを行うことができるようになったと話します。
また、現在は、同友会で出会った他の士業の同年代の会員とアライアンスを組み、守備範囲を理解しあえるビジネスパートナーを得ることで、更に事業を拡大しています。
同友会会員とビジネスを補い合うことにより、更に事業の拡大させていました。
網野氏の所属する組織は、個人事業の集合体という構成になっているため、自分の引退後は次の世代に引き継ぐことも考えていかなければならない、一人経営者がお客様への責任感を果たすため、アライアンスを組むことの重要性を感じているという、今後の展望も語られた報告でした。
堀内氏は、「自分はなぜ事業を経営しているのか」を悩んでいたところ、ある先輩経営者からの「経営理念を作った時に自分がやるべきことが明確になった」という報告を聞き、その場で同友会に入会しました。
驚いたのは、入会後は、経営指針作成部会を2度受講していることです。
1度目の受講では、経営者から見た士業の立場を客観的に理解できるようになり、「経営者のお困りごとを一緒にサポートし一緒に解決することが自分の本当にやりたいことだ」と自社のミッションを見出すことができたと思ったそうです。
経営指針作成部会受講後、順調に事業を大きくしていく中、同友会で出逢ったYMG林会計のグループ会社として法人化することになります。法人化したものの「組織を作ると、自分の視点だけで物事を動かせない」ことに直面した堀内氏は、二度目の経営指針作成部会の受講を決意します。
経営指針を再度学ぶことで、「経営はずっと続いていくもので、お客様の会社の発展を願うのであれば、自社の継続が必要」と考えるようになり、スタッフの雇用も始めました。 自分の考え方を共有して育てたスタッフに、「私の意思を引き継いで、未来にわたってお客様のサポートをしてほしい」と考え、一人社長を卒業し、組織経営への道を歩み始めています。
3人の共通点は同友会の例会が学びの場であったことです。
自分を客観的に見て、有益な情報を得て、ネットワークを築き、社会に価値を提供する「三方良し」の意識を持って、学びを深めていると感じました。
グループ討論は、
〇先駆者の話を聞いて、今後どのような方向性で事業発展を目指しますか?
〇事業発展のために、何をどのように行い、進化していこうと思いますか?
について討論し、2つのグループが発表を行いました。
「ビジネスを継続・承継することが重要。雇用は後継者になる方の考え方によっても方向性を変える柔軟性が必要。実践は同友会に積極参加し経営者の学びを深めることが重要」
「グループ内に起業して浅い方が多く、この先どうすればよいか分かっていないという意見も出た。発表者が理念をしっかり持っていて学びになった。個人で経営していくためにはアライアンスが重要だと感じた」という意見が発表されました。
3人のパネリストの意見交換を円滑に進行された座長の株式会社フェアネスコーポレーション代表取締役金子厚子氏を中心に、時折笑いも生まれ、立場の違う3社3様の一人社長が、これまの同友会とどのように関わってきたのか、学びが経営に与えた変化、3人が考える今後の展望と同友会の活かしかたについて、本音が語られた報告でした。
第3分科会へは多くの一人経営者の参加があり、いろんな状況の3人のパネリストの報告は、自分に置き換えやすい報告で、様々な角度から学びを持ち帰ることができたのではないかと思います。
<文責 株式会社みらいDC 長尾真裕美>
第4分科会では、異業種コラボレーションや事業の多角化をテーマに、実際に新規事業を立ち上げた(株)栄屋製パン 代表取締役 梅田高嗣氏の報告と、パネリスト2 名による経営分析が行われました。その後、グループディスカッションを行い、ビジネスアイデアを現実化するためのアイデアを共有しました。
学校給食用や業務用パンの製造を手掛ける(株)栄屋製パンは、コロナ禍の影響で経営が悪化する中、新規事業としてパンの耳からクラフトビールを製造するアップサイクルへの挑戦を始めました。様々な課題がある中、助成金を活用して資金を確保し、給食事業の拡大で経営を立て直すとともに、新規事業をスモールステップで開始。世界初となるパン耳100%のクラフトジンを開発し、2024年には醸造免許を取得しました。パンの耳を活用したビールの製造を通じて、食品廃棄物削減と事業の多角化に成功した一方で、「どの市場にどう売るか?」というマーケティングが今後の課題として挙げられました。
パネリストの税理士法人YMG林会計 代表社員 林充之氏と(株)rai-zou 代表取締役 石井尚志氏からは、廃棄物に価値を見出したアイデアの素晴らしさが評価される一方で、マーケットの設定や販路の具体化、商品ストーリーの発信の重要性が指摘されました。「パン屋が作るビール」という特徴を活かしつつ、消費者にわかりやすい形で伝えることで、商品としてのポジションを確立できる可能性があるとされました。また、新規事業におけるリスク管理やスピード感を持った進行の大切さについてのアドバイスもありました。
グループディスカッションでは、「パンの耳」という特徴を商品名やパッケージにもっと反映させる案や、販売ターゲットとしてサービスエリアや旅館などを狙う案が挙げられました。また、事業を多角化するためには?というテーマでは、異業種の人々との交流や、社会課題を解決する視点を持つことが重要だという意見がありました。福祉事業と異業種を掛け合わせるアイデアなど、新たな可能性を感じさせる提案がありました。
今回の分科会を通じて、多角化に挑戦するための実践的なアプローチや、異業種との連携の可能性が示されました。報告者やパネリストの経験に基づくアドバイス、そしてグループディスカッションで共有された意見は、多様な視点から事業の可能性を探る重要性を改めて教えてくれるものでした。同友会というネットワークや知見の共有は、今後の事業発展において欠かせない場になると感じました。
<文責 株式会社tomonico 奈須 香織>
第5分科会では、ファシリテーター Tech-Dab(株) 代表取締役 樫村亜一氏が、㈲川田製作所 代表取締役 川田俊介氏、(株)エナメディカル 代表取締役 伊藤千明氏のお二人から自社の魅力や付加価値についてお聞きするというスタイルでの報告となりました。
川田氏は製造業の川田製作所ではIT 技術や技術革新を行いながら、(株)グッドファームというレタス栽培を行う農業の会社をコロナ禍に新たに設立。製造業で培った工場で大量生産をするということをベースに考え、野菜を安定供給で客先へ提供しています。
農福連携を考え、新会社は就労支援B型事業所としました。
人が足りないという現在、グッドファームでは会社の入り口に採用の張り紙を出すとすぐに応募が来るそうです。
自社の魅力が社員や地域にも伝わり採用にも繋がっているのでしょう。
(株)エナメディカル代表取締役 伊藤千明氏は医療機関の支援から起業しました。それには、一旦仕事を辞めてしまった女性の働ける場所を創出しようと考えたそうです。
現在伊藤氏の会社社員は女性が9 割。女性活躍の場を作り、介護事業、ウェルネス事業と拡大をしています。
女性は出産や子育て、介護など働く時間に制限がある方がいるため、女性目線の雇用形態や社内研修などを用意して社員の意識向上にも努めています。
参加者の中には「普段あまり例会に参加できないけれど、伊藤氏の取り組みをどうして
も聞きたい」という方もいました。
今回のグループ討論はグループ発表者から「自社を魅力ある会社にするために明日から⚪︎⚪︎を実践します」という宣言をしてもらうという、ちょっと変わった討論でした。
報告者の川田氏、伊藤氏のお話は大変参考になりましたが、そこの学びや気付きを自社に持ち帰り、実践をしなくてはせっかくのご報告がもったいないです。
グループ討論発表者だけでなく、参加者全員が「自社を魅力ある会社にするために明日から⚪︎⚪︎を実践します」と宣言することが今回、分科会の結びになるでしょう。
<文責 株式会社ハマ企画 松村 千代>
第6分科会は、前半は「賃上げはなぜするのか?経営理念では伝えられない事~アップ流幸せの4つの法則~」をテーマに、(株)アップ総合企画 代表取締役 田中勇人氏にご報告いただきました。
創業当初、会社経営とはピンハネ、社員はただの捨て駒、社長だけ儲ければOK、との考え方で5 年経営していたという田中氏。1997年9月に同友会に入会・会経営指針作成部会で学びピンハネ経営からの脱却を目指す等を掲げたものの上手くいかず。1998年~2008年暗黒の10年と呼ぶ悪循環サイクルが始まり、特に2008年リーマンショックで売上が半減し会社倒産の危機に陥ります。
つぶれる前に何かやることがあると考え、2009年経営指針作成部会を再受講し、事業目的は「『喜ばれることを喜びに』人を尊重し豊かな未来と夢を創造します」。精神的豊かさ=幸せと捉え、「UP流幸せの4つの法則 ①人から褒められること、②人から感謝されること、③人を助けること、④人から愛されること」を掲げます。
人こそUPの付加価値の源泉と社員を大切にするようになり、好循環サイクルになっていきます。企業の成長においては、労働生産性に着目し、中小企業でも上位10%は大企業と同じ高い生産性であることから、一流の中小企業を目指します。とにかく利益と、業態転換、儲かる仕事に絞る、脱下請・一流の下請になる、技術力の向上、無駄の排除などを実行。粗利額は付加価値の創造と考え、従業員個人で粗利目標を立て、毎月の営業会議で進捗確認し、月次決算書は従業員に全部開示し、利益を賞与で分配する仕組みも取り入れています。「賃上げはなぜするのか?」、賃上げ=幸せだからする。「経営は価値と幸福の創造、他社と自分を同時に幸せにする、豊かな共同体をつくる」と考える田中氏にとって当たり前のことなのでしょう。2030年に向けて今もチャレンジを続ける田中氏の貴重な実践報告でした。
後半は「企業の成長と社員の幸福を両立させるためにどんなチャレンジをしてますか?」をテーマに、グループ討論が行われ、各社の現在の取り組み、今後チャレンジしたいことなどを活発に論じ合い、企業の成長と社員の幸せの両立について、他者から学びながら真剣に考える経営者の姿がみられました。
最後に、座長の(株)応用ソフト開発 代表取締役会長 鈴木克彦氏より、田中氏が常に「やってみればいい」と動いている話から、企業にとってチャレンジし続けることが大事とまとめられました。
<文責 小栁人事労務サポート 小栁 里恵子>
弥侑feel 代表門倉侑美氏より、自身の同友会との出会い、仲間との出会いを通じての自身の成長についてご報告をいただきました。
門倉氏は、1 枚の折り込みチラシをきっかけに、神奈川県中小企業家同友会前代表理事の水口勉氏が代表取締役を務めていた(株)テラサポートに入社しました。
入社から1 年した後、水口社長の勧めもあり、門倉氏は同友会に参加することとなりました。しかしながら、自身は経営者ではないという考えもあったため、経営者達の間で交わされる会話になじむことができず、行かない理由を探すようになっていってしまいました。
そのまま幽霊会員になりかけた門倉氏を引き留めたのは、一本の電話でした。その内容は、総合環境分析(横浜北)の石渡壮氏からの、青年部例会づくりを一緒にすることになったという連絡でした。当初は例会づくりも分からず、経営者でないという考えから意見をあまり言えなかった門倉氏でしたが、石渡氏や座長の高橋氏との話をしていくなかで、次第と自分が意見を言ってもいいのだと気を持ち直し、例会づくりを通じて例会の楽しさ、重要性を認識することとなりました。
また、同時期に、幹部社員研修も受講することとなりました。この時に、門倉氏は自身が「幹部社員」であって、ゆくゆくは会社を背負っていく存在になって欲しいという社長の気持ちを受け取るとともに、話し合ったり、相談したりするということの重要性を再認識するにいたりました。
その後、関東甲信越青年経営者フォーラムの実行委員を経て、どんどん積極的に同友会に参加するようになった門倉氏は、自社においても敬意を払い謙虚であること、コミュニケーションを大切にすることをモットーに躍動します。
そんな折、門倉氏が勤めていた(株)テラサポートの代表取締役が交代することとなり、一時水口社長の関連会社である(株)ミズグチへ移籍をしますが、移籍するなかで「独立」するという可能性を意識するようになりました。
「独立」について自身でもその目的を考え、また、周りの経営者仲間、青年部の仲間たち、そして家族に相談する中で独立への思いを強くしていき、水口社長からも後押しされ、門倉氏は(株)ミズグチを独立し、これまでの経験を活かした終活コンサルタント・グリーフケアアドバイザー・葬儀関連の事務委託を事業内容とする弥侑feelの代表として活動を開始しました。
その後の活躍は目覚ましく、支部幹事を務めるとともに、神奈川県青年部会史上初の女性青年部会長に就任しています。
さらには、自身のマッサージ好きが高じたことと、ご縁もあり、今年11月には、新しく(株)ゆうを設立し、関内駅前でタイ古式マッサージの「アッチャリヤ」をオープンする運びとなりました。
グループ討論では、成長のためにどのような事を実践しているかを討論しましたが、門倉氏の報告を踏まえてか、コミュニケーションの重要性を討論の中でも再認識するグループも多く、明日からの行動指針を認識・再認識できる例会となりました。
<文責 港の見える法律事務所 藤江 勇佑>
創業以来、多くの困難がありました。関東大震災や横浜大空襲、2000年に高橋氏が社長になってからも、狂牛病や豚の口蹄疫んどの病気、新潟や東日本での大地震など、7 割売り上げが減った年もありました。困難をどうやって乗り越えていくかが大切です。経営とはその時代に対応する技術なのです。守るべきものと、変えてよいものを判断し、時代に合わせて対応していく事が必要です。経営者はその技術を持たなければいけません。そして、ピンチをうまく利用してチャンスに変える。ピンチの期間は、忍耐が必要。ピンチの時は、中にエネルギーを貯めていけばよいのです。ピンチの後には必ずチャンスが来ます。
また論語のことば、「徳不狐必有隣」(徳は孤ならず、必ず隣有り)。良いことをやれば孤独にはならない、必ず隣に助けてくれる友人が出てくる。常に地域のため、人のために行動していると、苦しい時には必ず助けてくれる、アイデアをくれる人も出てきます。
従業員、取引先、金融機関、株主の4つがWinWinにならないといけません。そしてこの4つは、地域に生かされています。会社を良くするためには、地域を良くしていく。地域を守らないといけません。私達は、いろいろな人に「生かされている」ということをあらためて感じなければいけません。
「真の千客万来」とは、沢山の人が入交り、行きかい、来ていただける。それだけでなく、その人たちがまた行きたい、また付き合いたい、また参加したい、と思えるようになることが理想です。「真の千客万来」を作れば、企業も地域も発展するのではないでしょうか。感謝の心を大切にし、地域と企業の関係、地域と自分の関係、をもう一度考えて頂ければと思います。
全体会の最後に齊藤健司実行委員長(㈱オマージュ)から、参加者、報告者、実行委員、事務局の皆様に感謝とお礼の言葉を述べ、一年間の思いを語りました。
そして赤い法被は、次回開催の県央支部の中島賢太氏(㈱ソアー)へ渡されました。
予想をはるかに上回る214名が参加したかなカン名刺交換・懇親会。司会は(有)創栄の山田勇作氏、乾杯の挨拶は横浜電子(株)の神田一弘氏で、元気よく始まりました。
第4 分科会で報告があった(株)栄屋製パンのパンのミミから作ったアップサイクルビールの試飲もありました。ゲストの紹介もあり、新しい仲間や久しぶりの仲間とのお喋りに盛り上がりました。
<文責:有限会社明和企画 野垣 博文(分科会以外)>