昭和38年に設立した小松精機株式会社は横浜市港北区に本社を置き、高知県に工場、京都府に営業所を構えた、今年で創業58年となる会社です。
現在の代表取締役である小松秀靖さんは3代目の社長で、父親である2代目の社長の次男として会社を引き継ぐ事になったのですが、兄と弟との間に挟まれ、また2代目社長からの突然の事業承継を言い渡され、何の準備や心構えも出来ていないままに社長となりました。
事業内容は、医療機器の製造販売とそれに伴う配管工事やその保守点検を業としており、特に医療ガスの配管設備の業界は全国に4社しか事業をしている会社が無く、小松精機以外の3社は全てグループ会社化しているためとてもニッチな業界であるのと同時に、今後、事業を継続していくためには販路の拡大を含め、多岐に亘る新たな挑戦をしていかなければならない状況でもありました。
そんな矢先に知人から「経営者としての学びの場」として紹介されたのが同友会であり、ここで小松社長は経営者として多くの事に挑戦し、自身の人生をも大きく変えていく事になっていったのです。
社長就任時の課題としては、①社員との関わり合い、②兄弟との確執、③新規事業の展開、④社員教育、⑤人材確保、が挙げられていましたが、同友会で実施されている「第55部会の経営指針作成部会」に参加され、そこで学んだことを謙虚にそして忠実に実践をし、また同期からの叱咤激励や情報交換を通じて、これらの課題を次々とクリアしていきました。
そもそも小松社長は自身でも認める程のパワハラ社長であり、これまでは社員の意見に全く耳を傾けることも無く、反対に強い命令口調で業務を言い渡したり、仕事が思う様に行かないときには直ぐに他人のせいにして愚痴や文句ばかりを言う状況だったのです。
ところが、経営指針での指導や部会同期からの意見を素直に聞き入れ実践した事により、今では社員から「社長が学んでいる姿勢が嬉しい」「社長に話しやすくなった」、時には「社長、一緒に飲みに行きましょうよ!」などと言われる様になりました。
また、部会同期から得た情報を元に事業再構築補助金を活用して高知工場に就労継続支援A型事業所を開設し、親子で面接に来られた障害者の親御さんから「こんな会社で働けたら良いね」と言われるほど魅力的な会社、そして社長へと変化して行ったのです。
最後に、自身が変化するには大きな勇気と信念が必要であり、それは生易しいことではないと思います。
それを短期間で成し遂げこれからも継続していこうとする小松社長を尊敬していると同時に、私自身も変化・成長する為に勇気を持って事業活動をしていきます。
また、「社員を、会社を、事業を大切にする」という不変の考え方を学べる同友会の存在意義を改めて実感しました。とても実のある例会でした。
(文責:㈲シー・エイチ・コンサルティング 柳 康治)