今回は、「社長が楽しければ社員もお客様もみんなハッピー!~ファン作りが経営のキモ!~」というテーマで、顧客が定着する会社作りのヒントになる内容のご報告を山口さんにして頂きました。
大学を卒業後、「新卒でサラリーマンをやってみたい」と思った山口さんは、物流会社に就職します。しかし、サラリーマンになるという目標を達成するや、トップの成績であったにもかかわらず、「誰よりも早く退職したい」と思い立ち、ボーナスが支給される前にトップ退職。以降、マルチ商法などに手を染めながら(笑)自分探しをしていました。
そのようなとき、一冊の本を読んだ山口さんは、バイクに乗って野尻湖にあるアウトドアスクールを訪れ、そのままインストラクターとして8シーズン過ごすことになります。
春は山菜採り、夏はウインドサーフィン、秋はキノコ狩り、冬はスキーのインストラクターをしながら、充実した時を過ごしていました。
結婚などを機にインストラクターをやめ、地元横須賀市に戻った山口さんは、ヨットのセイル販売や広告の営業の仕事に就きました。自然と関わる事業をお越したいという思いはありましたが、「アウトドアスクールとか子ども相手とかは違うなぁ」と、具体的な構想は出来上がっていませんでした。しかし、葉山のアウトドアショップの広告を取ったことで起業への思いが強くなり、また、当時日本ではほとんど知られていなかったシーカヤックと出会ったこともあり、シーカヤックショップ&スクールをオープンさせるべく、営業の仕事そっちのけでショップの物件探しに奔走しました。
そして、1994年9月、横須賀にシーカヤックスクールをオープンしました(後になって、シーズンオフにオープンしてしまった!と気付いたそうです。)。
山口さんのお話を伺っていて思ったことは、「ご自身が心の底から楽しんでいるな」ということでした。「お客様は休みに来るのだから、休んでもらうためには自分たちが楽しんでいなければならない」という言葉が印象に残っています。自らが楽しんでいるからこそお客様や社員さんも楽しむことができて、そんな山口さんのファンになって定着してくれるという好循環になっているようでした。
そして、経営的なことを考えると、サブスクや会員制にして客の囲い込みをしたくなるところですが、「お客様が好きなときに好きなように遊べるように、楽しんでもらえるように」と考えて、あえて囲い込みをしない方針を打ち出したところが結果的に集客につながっているということは、新しい発見でした。
自社のことだけではなく、地域の活性化にも積極的に取り組んでいるというお話でした。現在、漁業が全国的に低迷しています。環境の変化等による漁獲高の減少、高齢化、燃料費の高騰等が原因で、漁師さんの生活が苦しくなっているそうです。横須賀も例外ではありません。
山口さんは、自社のレジャーのノウハウと、漁師さんのノウハウを組み合わせ、「遊漁船」という形で集客・売上増につなげられないか模索しています。マリンスポーツは漁の邪魔になるため、一般的に海のレジャー産業と漁協は水と油の関係にあるそうですが、山口さんが勇気を持って懐に飛び込んだ結果、よい協力関係が出来上がっているようです。
ファン作りのために、「自分の心の持ちよう」がファン作りにつながるということに気付かされた例会でした。
(文責:湘南中央法律事務所 代表弁護士 長田 誠)