神奈川中小企業センターで開催された今回の例会のコンセプトは「異業種ならではの意見をいただきながら、製造業の未来を考える」として、普段製造業とはあまり交流の無い会員にも積極的に声かけをしました。通常の例会とは異なり、グループ討論テーマは報告者3名それぞれの今後の課題として、グループごとに違うテーマで討論を行う形式となりました。
なぜ会社を継ぐことになったか。また今後の課題や未来像について、横浜北支部から大西さんと村上さん・ものづくり広場から阿部さんに報告をいただきました。
一人目の報告者は(有)トワダの阿部さんです。長期の海外生活など自由な人生を送っていた阿部さん。父の会社を継ぐことなど全く考えていなかったと語ります。ある日突然「姉弟のどちらかが会社を継げ」と言い渡され、継ぐことを決意します。数々の問題に対峙しながら経営を一から見直し、社内の和をいちばんに考え変革をすすめてきました。
一時期はM&Aで会社の売却も考えていたが、今は「企業存続のために今すべきこと」を課題として捉え、グループ討論では、ベテラン技術者の技をどのように繋いていくかという議題で意見交換が行われました。
二人目の報告者は東京精密発條(株)の大西さんです。優雅なOL生活を謳歌していた大西さん。父の会社がどんな会社で所在地がどこかも知らなかったとのことで、事業承継の相談を受けたときは青天の霹靂だったと語ります。
入社後は社員さんから無視されるなど「なんで?」という理不尽な経験もしたが、今では、このときの経験が自身の成長の大きなバネになったと語ります。数々の困難な時代を乗り越えてきた父の思いを次世代につなぐため、会社を継ぐ決意を固めた大西さん。子育てをしながら次期社長としての道をあゆむ大西さんが掲げる課題は、多様な人材の獲得。
グループ討論は、多様な人材を獲得するための方法について討論が行われました。
三人目の報告者は村上電業(株)の村上さんです。冒頭自身の障がいについて語ってくれました。一見してもわからないため見過ごされて理解してもらえないとのことで、同じように悩んでいる人のために自身の経験を発信し続けています。
創業の父に感謝を述べつつ、事業内容の説明では、先日打ち上げに成功したロケットのパーツの紹介では会場からため息が漏れる場面もありました。承継はまだ道半ばと語る村上さん。承継を目指す理由として、多くの人に助けてもらって生きてきた自分が人助けをしたいという思いです。
さらに、村上電業と関わる人と人の縁を繋ぐきっかけとも語ります。そのために、安定した売り上げを上げることが今の課題とし、グループ討論では、販路拡大 強みを伝え認知度を上げる方法について、いろいろな意見が交わされました。
グループ討論では、報告者にもグループに加わっていただき活発な意見交換が行われました。
「技術承継」・「人材採用」・「販路拡大」という別々の課題についてグループごとに討論を展開しましたが、異業種の参加者からも、どの課題も企業存続のためにとても重要で、待ったなしの課題との意見が多く聞かれ、充実の内容となりました。
(文責:㈱横浜家具製作所 浅井雄二)