小田原支部2月例会では恒例の「自社の報告と課題を語る」というテーマで新会員さん2名にご報告いただきました。
報告者は、株式会社春海水産の牧野さん、株式会社パーソンライフの鳥海さんのお二人です。牧野さんは、地元早川で水産仲卸業を営んでおり、若年層を多く雇ったり、お客様の要求に柔軟に対応したりすることで、コロナ禍の中でも順調に業績を伸ばしています。
鳥海さんは事故で障害を持つようになってしまった親友のために、介護の勉強を始め、認知症の方向けにデイサービスを開設し、地域No.1の施設を作ることを目標に、多様なプログラムに取り組んでおりました。
報告を聞いた後は、グループ討論。参加者全員で、お二人が抱える課題について活発な議論が取り交わされました。
奇しくも同じタイミングで創業したというお二人でしたが、私はご報告の中にそれ以外の二つの共通点を見つけました。
まず一点目はお二人ともNoと言わないということです。
牧野さんはNoと言わない魚屋さんを目指しており、お客様のリクエストがあれば魚だけではなく野菜の取り扱いを始め、一方鳥海さんは他の施設で断られてしまった困難事例と言われている利用者さんを断らず引き受けております。顧客の要望を断らないということは簡単にできることではありません。しかし、私はこのお客様の期待に応えたいという思い、それに対応する柔軟性に中小企業の生きる道を見出しました。断らないことで、新しい事業が生まれる。断らないことで、それが強みになる。困難とされるものを困難とせずに、挑み続ける姿勢に中小企業の活路があるのではないかと感じさせられました。
そして二つ目の共通店は、一人一人の幸せに向き合っていることです。
牧野さんは、社員がみんな活躍できるように、一人一人にデスクを与え居場所を作り、それぞれが活躍できるようなポストを作ることで、人を生かすことに挑戦しています。鳥海さんは、「社会全体が幸せになることではなく、一人一人が幸せになることを」企業目標に掲げて、利用者さん一人一人が主役になれるよう、それぞれに目を向け小さな気配りをし、その人たちの願いを叶えていると言います。多様性が多く叫ばれている現代ではありますが、生産性、効率性を重視する大企業には一人一人に向き合うことは難しいことであると思います。
中小企業は小規模だからこそ、そこで働く人、お客様の一人一人に向き合い、相手の幸せを願うことができる。その人に対する思いやり、そして、そのために対応して変えていける柔軟性に中小企業の価値があるのではないかと考えさせられるご報告でした。
(文責:小田原鉱石㈱ 高橋 淳)