神奈川県中小企業家同友会には、大変多くの福祉関係の企業が所属しています。
県南支部のある横須賀・三浦・逗子・葉山・鎌倉地区にも39社中6社が福祉関係の企業です。
今回はそのうちの一社である福祉創造株式会社の石河 幾久雄氏に寄稿していただきました。
2022年10月の例会(異業種交流勉強会)の後、懇親会で社長の業務の見える化の話しになった時に、業務の洗い出しの一歩として5Sを始めたと石河氏は語ります。
5Sが当たり前の業種でも、石河氏がどのように考えて5Sを始めたのかは参考になると思います。
サービス業なのにどうして5Sを行うのでしょうか?どの様な仕事、業務にも整理・整頓・清掃・清潔・躾の5Sは必要なはずです。ものづくり産業では欠かせない事ですし、サービス業でも思い浮かぶのはセブンイレブン等などだと思います。
福祉創造株式会社(以下、当社)は高齢者、障害者を対象とする対人サービス業です。サービスを提供するための書類(契約書・重要事項説明書・記録書等)、資料、物品はたくさんありますし、職員や利用者様が増えればさらに増えます。当然書類の取扱いに関するルールは必要になってきます。
当社は社歴も浅く、ものづくり業界のような基準(メーター、グラム、数字)が無かったので、書類管理については担当者がそれぞれの経験でこんなもんだろう程度の書類整理や管理を行っていました。職員の中には5Sをしても何の付加価値を生まないし、必要がないものと勘違いしている人もいました。
だいぶ以前の事ですが、私は、ある時期から事業を発展拡大している会社と取引をする機会に恵まれました。その会社の発展は、整理整頓を徹底し始めた頃からのように感じていました。
そこから数年のち、私は神奈川県中小企業家同友会に入会し、経営指針作成部会に参加しました。そこで経営理念や経営計画の作り方を勉強したのですが、たまたま同期として一緒に学んだ都市環境サービス株式会社の前田社長の会社を訪問する機会を得ました。そこで目にしたのは、書庫に無駄なく整理整頓されて並ぶファイル、全ての机の上には不要な文具や書類を置かずに効率的に業務を行っている姿でした。私はすぐに、この会社と同様の基準を自社に持ち込みたいと思ました。そこで教えてもらったのが、「5S」「業務分類ファイリングシステム」です。
やり方は、整理整頓後に業務分類を行います。分け方は、社長関連、幹部職員、設備、サービス提供実務、人事、労務、総務などで、それに伴う必要書類を洗い出します。誰がどの仕事を行うか、必要書類は何処にあるのかは、表を作成して見れば一目瞭然になります。書庫番号、ファイル番号等のルール化と、書庫、書類の地図の出来上がりです。図書館の書庫書籍標記を想像していただければと思います。
業務分類は幹部職員がやらなくても良い業務を明示出来て、手離れをする機会となり、現場に任せることが出来ます。現場はどの様な報告をすれば良いか考える機会を作り、重複、無理、無駄を見つけ出すことが出来ます。新人が何処に必要書類があるのか古参職員に聞かずに済む事も視野に入れています。
利用者、関係者に見えるファイリングシステムで安心感、信頼感を創り出し、行政機関の監査、公表調査などに対応するために必要な書類を常時整える機会にもなり付加価値を作り出す時間を得ることになると確信しています。
同期とはいえ、5Sの実践を余すことなく教えてくれた前田社長には本当に感謝しています。まだまだ道半ばですが、目指す同期社長に追いつけるように精進してまいりますので、みな様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。
<文責:福祉創造株式会社 石河 幾久雄>