前年同期比では、経常利益、経常利益水準、業況水準で減少した。次期見通しでは、売上高、経常利益、業況判断の見通しが減少している。全業種をみると、各DIが平均的に減少している。経営上の問題・重点としては、常態化している人材に関わる項目が上位となっている。

  • ○前年同期比では、売上高 DI が増加、経常利益 DI が減少している。次期見通しにおい ては、売上高 DI が減少、経常利益 DI が増加している。業種別では、前年同期比では、 情報・流通・商業が高いが、次期見通しでは、建設業が高い数値となっている。今期 の業況水準 DI が12、業況判断 DI が前期比の 28、前年同期比の 27、次期見通しの 32 である。
  • ○設備投資の実施企業は約 2 割、次期に設備投資を計画している企業は約 2割強である。 今期の設備投資の内訳では「情報機器」、「その他」、「情報システム」という順で割合 が高い。
  • ○資金繰の状況では、△2→△11 と悪化している。
  • ○経営上の問題は、「従業員不足」、「人件費の増加」、「同業者相互の価格競争の激化」の順に割合が高い。これらの課題に対応するために経営上の力点として、「新規受注(顧客)の確保」「付加価値の増大」「人材確保」が重要視されている。
  • ○前回の KD レポートの結果よりも経常利益 DI 等で減少傾向にある。建設業の前年同期
    比における売上高 DI は大きく減少し、経常利益水準(黒字か赤字)DI では、情報・流通・ 商業が大きく減少している。会員企業は全業種で各 DI が平均的に減少している。

【調査要領】

  1. 調査時 2018月9月15日~10月15日
  2. 対象企業 神奈川県中小企業家同友会会員
  3. 調査の方法 e.doyu(会員グループウェア)と FAXによるアンケート
  4. 回答企業数 784 社より 163 社の回答を得た(回答率 20.8%)
    (建設業 13 社、製造業 42 社、情報・流通・商業 17 社、サービス業 81 社、不明 10 社)
  5. (5)平均社員数 1正規社員 21.6人 2パート・アルバイト 16.3人

※文章中の DI とは、ディフュージョンインデックス(Diffusion Index)の略で、「良い」 と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値です。

神奈川県中小企業家同友会の景況調査
~概況報告~

玉川大学経営学部准教授 長谷川英伸

景況調査の結果

1. 売上高・経常利益・経常利益の水準・業況水準・業況判断

1-1. 売上高

全業種の売上高 DI は、前年同期比で 25(前回調査時、以下省略)→26 の 1 ポイント増加、 次期見通しは 35→23 の 12 ポイント減少となっている。各業種の DI は下記の図表 1 の通 りである。前年同期比では、建設業の 31→8 の 23 ポイント減少、製造業の 25→17 の 8 ポ イント減少、情報・流通・商業の 29→24 の 5 ポイント減少、サービス業の 20→33 の 13 ポイント増加となっている。次期見通しでは、建設業の 0→42 の 42 ポイント増加、製造業 の 35→29 の 6 ポイント減少、情報・流通・商業の 48→13 の 35 ポイント減少、サービス 業の 42→17 の 25 ポイント減少となっている。
建設業の前年同期比の売上高 DI が 8 であるものの、次期見通しでは 42 となり、大きく 増加している。製造業の前年同期比の売上高 DI が 17 で次期見通しでは 29 と増加している。 情報・流通・商業の前年同期比の売上高 DI が 24 で次期見通しでは 13 と減少している。サ ービスの前年同期比の売上高 DI が 33 で次期見通しでは 17 と減少している。全業種のなか で、建設業は特に前年同期比と次期見通しの差がみられる。

1-2. 経常利益

次に、経常利益をみてみる。全業種の経常利益 DI は、前年同期比で 17→5 の 12 ポイン ト減少、次期見通しは 35→20 の 15 ポイント減少となっている。各業種の DI は下記の図 表 2 の通りである。建設業は、前年同期比が 27→25 の 2 ポイント減少で次期見通しでは、 20→58 の 38 ポイント増加となっている。製造業は、前年同期比が 24→0 の 24 ポイント減 少で次期見通しでは、29→19 の 10 ポイント減少となっている。情報・流通・商業は、前 年同期比が 35→29 の 6 ポイント減少で次期見通しでは、32→13 の 19 ポイント減少となっている。サービス業は、前年同期比が 0→△3 の 3 ポイント減少で次期見通しでは、20→16 の 4 ポイント減少となっている。
前年同期比では、建設業は 25 で次期見通しが 58 と大きく増加している。製造業では、 前年同期比が 0 で、次期見通しは 19 と増加している。情報・流通・商業では、前年同期比 が 29 で、次期見通しは 13 と減少している。サービス業では、前年同期比が△3 で次期見通しは 16 となっており、増加している。
経常利益 DI は、前年同期比において情報・流通・商業が一番高く、次期見通しでは、建 設業が一番高い結果となっている。

1-3. 経常利益の水準・業況水準・業況判断

経常利益の水準については、黒字の割合から赤字の割合を差し引いた経常利益水準 DI でみていく。全業種の DI は 45→40 の 5 ポイント減少、建設業は 56→20 の 36 ポイント減少、製造業は 49→46 の 3 ポイント減少、情報・流通・商業は 76→47 の 29 ポイント減少、サービス業は 27→36 の 9 ポイント増加している。全業種の数値において、数値は減少しており、特に建設業の下げ幅が大きい。
次に業況水準についてみていく。全業種の DI は 27→12 の 15 ポイント減少、建設業は 19→38 の 19 ポイント増加、製造業は 33→15 の 18 ポイント減少、情報・流通・商業は 46 →18 の 28 ポイント減少、サービス業は 15→2 の 13 ポイント減少している。建設業の数値 は他業種よりも最も高い数値となっており、一方、サービス業の DI の数値が一番低い。
業況判断では、全業種の前期比は 23→28 の 5 ポイント増加、前年同期比は 28→27 の 1 ポイント減少、次期見通しは 36→32 の 4 ポイント減少となっている。建設業の前期比は 38→33 の 5 ポイント減少、前年同期比は 31→33 の 2 ポイント増加、次期見通しは 19→67 の 48 ポイント増加となっている。製造業の前期比は 31→37 の 6 ポイント増加、前年同期 比は 51→31 の 20 ポイント減少、次期見通しは 48→26 の 22 ポイント減少となっている。情報・流通・商業の前期比は 46→18 の 28 ポイント減少、前年同期比は 44→35 の 9 ポイ ント減少、次期見通しは 46→29 の 17 ポイント減少となっている。サービス業の前期比は 2→22 の 20 ポイント増加、前年同期比は 0→19 の 19 ポイント増加、次期見通しは 27→29 の 2 ポイント増加となっている。建設業では、他業種よりも数値が高い傾向にあり、サービス業が低い傾向となっている。

2. 経常利益が増加した理由、減少した理由

経常利益が増加した理由として 1 番多かったのが、「売上数量・客数の増加」の 63.8%で あった。次いで「売上単価・客単価の上昇」の 18.8%であった。一方、経常利益が減少し た理由で 1 番多かったのが、「売上数量・客数の減少」の 38.2%であった。次いで多かったのが、「人件費の増加」の 21.8%であった。
経常利益が増加した理由として、「売上数量・客数の増加」の割合が最も多い。一方、経 常利益の減少理由として、「人件費の増加」が 2 番目に高くなっており、利益を圧迫している。

3. 設備投資の状況、資金繰の状況

設備投資について、今期の実施状況と次期の実施予定状況についてみていく。今期に設備投資を実施したと回答したのは全体の 29.4%→24.8%、次期に設備投資を計画していると回答したのは 37.1%→26.1%であった。今期に設備投資を実施したと回答した企業で投資し た項目別にみてみると「情報機器」が 30.6%、「その他」が 24.5%、「情報システム」が 16.3%、で上位を占めていた。次期の設備投資計画では、「情報機器」が 26.7%、「情報システム」が 24.4%、「工場」17.8%が上位となった。
資金繰の状況について、現在の資金繰の状況をみていく。資金繰の状況に関しては、余 裕ありが 15.2%→15.5%、やや余裕が17.9%→12.4%、順調が 31.8%→33.5%、やや窮屈が 27.2%→28.6%、窮屈が 7.9%→9.9%となっている。余裕ありとやや余裕と回答した企業割 合からやや窮屈、窮屈と回答した企業割合を引いた資金繰 DI は、△2→△11 の 9 ポイント減少している。

4. 現在の経営上の問題点・重点

現在の経営上の問題点をみていく。これは各企業上位 3 つまでを選び回答したものである。1 番高い割合を示したのが、「従業員不足」の 19.6%で、次いで「人件費の増加」の 13.6%、「同業者相互の価格競争の激化」の 11.0%、となっている。人材に関する項目は、常態化し ていることがわかる。
経営上の重点では各企業上位 3つまでを選んで回答したものである。まず、現在実施中の力点では、多い順に、「新規受注(顧客)の確保」→19.8%、「付加価値の増大」→17.1%「人 材確保」→13.2%、となっている。上位に挙がっている項目は、事業運営上、特に重要なポ ジションであることがわかる。

5. 特別質問の結果について(無回答は除く)

今回の特別質問では、企業防災と事業継続計画(BCP)に関する項目について行った。結果 をみていくと、まず、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 38.5%、「実施して いない」は 61.5%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 21.7%、「策 定していない」は 66.5%、「BCP を知らない」は 11.8%であった。
次に、企業防災を実施していると回答した中から、具体的な取り組みについてみてみる と、「避難訓練の実施」は 26.8%、「備蓄」は 36.6%、「蓄電・発電」は 2.7%、「耐震補強」 は 6.3%、「勉強会の実施」は 8.0%、「広域避難場所の確認」は 19.6%、「会社が広域避難場 所に指定」は 0.0%、「その他」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると回 答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 68.6%、「していない」 は 31.4%であった。
業種別 にみていく 。 建設業では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は16.7% 、「実施していない」は 83.3%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 16.7%、「策定していない」は 58.3%、「BCP を知らない」は 25.0%であった。
次に、企業防災を実施していると回答した中から、具体的な取り組みについてみてみる と、「避難訓練の実施」は 33.3%、「備蓄」は 33.3%、「蓄電・発電」は 0.0%、「耐震補強」 は 0.0%、「勉強会の実施」は 0.0%、「広域避難場所の確認」は 33.3%、「会社が広域避難場 所に指定」は 0.0%、「その他」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると回 答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 100%、「していない」 は 0%であった。
製造業では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 50.0%、「実施していない」 は 50.0%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 31.0%、「策定してい ない」は 61.9%、「BCP を知らない」は 7.1%であった。
次に、企業防災を実施していると回答した中から、具体的な取り組みについてみてみる と、「避難訓練の実施」は 26.2%、「備蓄」は 33.3%、「蓄電・発電」は 4.8%、「耐震補強」 は 7.1%、「勉強会の実施」は 7.1%、「広域避難場所の確認」は 21.4%、「会社が広域避難場 所に指定」は 0.0%、「その他」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると回 答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 61.5%、「していない」は 38.5%であった。
情報・流通・商業では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 52.9%、「実施
していない」は 47.1%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 35.3%、 「策定していない」は 35.3%、「BCP を知らない」は 29.4%であった。
次に、企業防災を実施していると回答した中から、具体的な取り組みについてみてみる と、「避難訓練の実施」は 10.5%、「備蓄」は 47.4%、「蓄電・発電」は 5.3%、「耐震補強」 は 15.8%、「勉強会の実施」は 5.3%、「広域避難場所の確認」は 15.8%、「会社が広域避難 場所に指定」は 0.0%、「その他」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると 回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 83.3%、「していな い」は 16.7%であった。
サービス業では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 32.1%、「実施してい ない」は 67.9%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 14.8%、「策定 していない」は 76.5%、「BCP を知らない」は 8.6%であった。
次に、企業防災を実施していると回答した中から、具体的な取り組みについてみてみる と、「避難訓練の実施」は 31.1%、「備蓄」は 31.1%、「蓄電・発電」は 2.2%、「耐震補強」 は 2.2%、「勉強会の実施」は 15.6%、「広域避難場所の確認」は 17.8%、「会社が広域避難 場所に指定」は 0.0%、「その他」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると 回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 57.1%、「していな い」は 42.9%であった。
次に、規模別にみていく。規模別に関しては、企業防災の具体的な取り組みは省く。企 業規模 1 名では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 7.7%、「実施していない」は 92.3%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 15.4%、「策定し ていない」は 84.6%、「BCP を知らない」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP)を策定し ていると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 0.0%、「し ていない」は 100%であった。
企業規模 10 名以下では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 16.2%、「実施していない」は 83.8%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 11.8%、 「策定していない」は 75.0%、「BCP を知らない」は 13.2%であった。事業継続計画(BCP) を策定していると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 50.0%、「していない」は 50.0%であった。
企業規模 30 名以下では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 26.4%、「実施していない」は 73.6%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 13.2%、 「策定していない」は 72.6%、「BCP を知らない」は 14.2%であった。事業継続計画(BCP) を策定していると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 64.3%、「していない」は 35.7%であった。
企業規模 50 名以下では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 33.9%、「実施していない」は 66.1%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 16.1%、 「策定していない」は 70.2%、「BCP を知らない」は 13.7%であった。事業継続計画(BCP)を策定していると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 61.9%、「していない」は 38.1%であった。
企業規模 100 名以下では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 35.7%、「実 施していない」は 64.3%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 19.3%、 「策定していない」は 68.6%、「BCP を知らない」は 12.1%であった。事業継続計画(BCP) を策定していると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 64.3%、「していない」は 35.7%であった。
企業規模 101 名以上では、「企業防災の取り組み」では、「実施している」は 66.7%、「実 施していない」は 33.3%であった。「事業継続計画(BCP)」では、「策定している」は 58.3%、 「策定していない」は 41.7%、「BCP を知らない」は 0.0%であった。事業継続計画(BCP) を策定していると回答した中から、社内・社外共有についてみてみると、「している」は 71.4%、「していない」は 28.6%であった。

神奈川同友会景況調査報告(KD レポート) (2018年7〜9月期)(PDF)