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神奈川県中小企業家同友会
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2023年8月17日、ダイバーシティ委員例会を開催しました!

2023年8月のダイバーシティ委員会の例会は、「小林さん、そんなに増やして大丈夫?」をテーマに株式会社ワイズ・インフィニティ 代表取締役 小林雅人(県央支部)さんに、社会問題解決や企業ブランディングについて報告していただきました。

障害者の自立と親子の関係

放課後等デイサービスという環境で穏やかに過ごされる利用者の方も、その一方で家庭環境においては親子の共依存関係になっている方が少なくありません。

障害者が自立するためには親子の関係性が重要になります。しかし、その経済的な問題や過剰な干渉などがあるなどする場合、その関係性が自立を妨げる要因になることもあります。この社会問題に気付いた小林さんは、個人の自己成長と家庭のバランスを見直すため、障害者グループホームを立ち上げました。

ブランディングで企業価値を高める

小林さんは「社会起業家」という言葉を知り、また同友会の役員を歴任し、同友会運動をしていくうちに福祉事業への進出を考えていったそうです。しかし、福祉事業を展開するにしても、たんにボランティア活動に終わらず利益を確保しながら社会貢献活動をすることが重要とお話しされていました。さらには、企業の価値を高めるための「ブランディング」を意識されているとのことです。

社員のための仕組み作り

小林さんは社員の成長を促進するため、組織の仕組みやルールの整備に取り組まれました。新卒社員には研修を充実させ、幹部社員には自主性を促すため意見を言いやすい環境づくりをしました。なかでも社員の「やってみたい」を尊重し、失敗してもそれが経験となるようフォローしていくようにしたところ、社員が自走できるようになったそうです。

また、できないことはできる人に任せる・できないことを補ってくれる人にはその分の対価を増やすといった、お互いに支え合いチームで動くことの大切さを重要視されています。

社員への報酬や職場環境などを整えていくことで「この会社でよかった」と思える社員が増え、専門性のある優秀なスタッフを育成できたとおっしゃっていました。

「戦略的どんぶり勘定」でスピード経営

報告の中では、細かい計画よりも大まかな方針を先に立て、それに基づいて戦略とスケジュールを策定する「戦略的どんぶり勘定」について解説していただきました。具体的な戦略やスケジュールを立てるのではなく、まずは、「やりたいゴール」から5w1hならぬ、6W3H(「When、Where、Who、What、Why、Whom」「How (to)、How muchHow many」)を決め、その方針に基づいて実践しPDCAサイクルを回すといった、スピード重点の経営をされています。

受け入れが難しい利用者でもできる・できないではなく、「どうしたら受け入れられるか」を考えることで実現可能になります。そして、受け入れられる利用者の幅が広がったことが、マーケットの拡大にも繋がったそうです。

事業拡大と今後の展望

ワイズ・インフィニティが厚木エリアを中心に事業を拡大している背景には、需要と供給の差が大きく、困っている人々(入居希望者)が多いことが挙げられます。介護包括型サービスは需要が高まっており、特にまだ誰もやっていない領域に挑戦することが利益につながります。福祉サービスは利益を追求してはいけない、ということはなく、供給が足りていない今こそグループホームを立ち上げるチャンスではないか、とのことでした。

またご自身の年齢的にもリミットがあるため、今のうちに仕事もプライベートを楽しむことを心がけているそうです。ちなみに小林さんは特にサッカー観戦を趣味としており、4年に一度開催されるワールドカップの開催年をリンクさせながら会社のビジョンも考えているとのこと。

また、企業価値が高ければ自分が退任をしてもM&Aで売却したり、社員に譲ったりと方法は色々あるため、今後も目の前のことに真剣に取り組んでいくのみ、とお話がありました。事業承継は多くの経営者が悩むポイントで、同友会でもよくテーマに上がります。経営者である以上、目の前の経営課題はもちろん、「会社をどのように終えるのか」「どのように継いでもらうのか」も同様に重要課題として考えていく必要がありそうです。

グループ討論テーマ「利益を増やすために何をしますか?」

後半はグループに分かれテーマについて話し合いました。

小林さんの報告から、各グループでは以下のような方法が挙がりました。

  • 事業所を増やしていく
  • セミナーなどに積極的に参加し情報を取りに行く
  • 社員にとって働きやすさと働きがいを感じられる職場づくりをする
  • 戦略的どんぶり勘定を行なっていく
  • ストックビジネスを作る
  • 質とともに単価アップを考える
  • 同友会の人脈を活用する

まとめ

障害福祉事業の拡大と利益の追求は両立できるとの信念を持ち、利用者と社員に寄り添った環境づくりを目指されている小林さん。

ブランド戦略と社会的課題を結びつけ、難しい仕事や手間のかかるタスクに対しても積極的に取り組み、それによって経験を積みまた新しいことにチャレンジしビジネスを発展させていることがとても印象的でした。