ダイバーシティ委員会では2023年9月20日に「見学例会」を実施し、神奈川県のインクルーシブ実践推進校である神奈川県立上鶴間高校を訪問しました。同友会からは20名が参加しました。
インクルーシブ推進校とは、神奈川県のホームページによると、以下のように説明されています。
「インクルーシブ教育実践推進校」とは、誰もが大切にされ、いきいきと暮らせる「共生社会」をめざして、知的障がいのある生徒が高校で学ぶ機会をひろげながら、みんなで一緒に過ごすなかで、お互いのことをわかりあって成長していくことを目標にしている高校です。
神奈川県では令和2年に始まり、現在は14校で、今年度から通学区域の制限がなくなり全県一区となりました。明年からは4校増え、合計18校となる予定です。今回は実際の授業に、神奈川同友会相模原支部のメンバーが登壇し、「企業側からの話」をすることから始まりました。
続いて、生徒から「どんな仕事をしていますか?」との質問があり、同友会の参加メンバー全員が返答しました。同友会には様々な業種・業界の会員がいますので、説明に高い関心を持つ生徒も多かったようです。また、当日参加した同友会の会員も、自社(自身)の仕事を手短にわかりやすく説明するよいトレーニングとなったようです。
その後は、2年生の4クラスの授業を見学し会議室へ移動しました。
校長先生からご挨拶をいただき、インクルーシブ校となって4期目で3月に1期生が卒業したことや(見学した授業など)取組みを理解いただき、横のつながり・情報共有を行いながらその先(卒業後)をどの様につなげるかとのお話がありました。
続いて進路担当の先生からお話をお聞きしました。担当として着任した当時、生徒たちのインターンシップ(実習)先を確保して欲しいという話があり、特別募集生の定員が各学年21名で最大63名になることを念頭に開拓に動き始めたそうです。
同友会との出会いは、生徒のインターンシップ先開拓のため様々な事業所訪問やインターネット上の情報を調べていたところ、神奈川同友会のダイバーシティ委員会が運営している「職場体験協力マップ」を発見したこと。校内の管理職を通じて同友会事務局に連絡し、ダイバーシティ委員会の例会にオンラインで参加するなどして繋がりが始まったそうです。
学校生活では、週に2時間(コマ)のみ特別募集生を対象とした授業が行われ、他の授業は一般生徒とともに同じ教科書で学んでいるそうです。授業は60分授業(他校は50分が多い)で行われ、学校行事や部活も一緒に学校生活を送っているとのことでした。
学校の特色としては、
1:特別募集生には個別共育計画を作成し、担任や教科担当と話し合い、科目ごとの目標をたて、頑張りや成長を踏まえた評価を行う。
2:2人体制で授業を行うが、特別募集生にかかりきりになることはない。
3:小さなホワイトボードと貸し出し説明の補足を行うとのことでした。
課題としては、やはり就職へのハードルが高いとのことでした。具体的には、
1:企業実習の機会が少ない(夏休みしか行えない。支援学校とは異なる)
2:作業の得手不得手が見えない、
3:働くための力を身につけることが難しい。また、試す場が少ない(1の理由と重なる)
など、まだまだ苦心している様子。一通り説明していただいた後の質疑応答では。予定時間を超過するほど様々な意見が交わされました。
休憩を挟み、各テーブルに先生が2名ずつ入り意見交換会が行われました。30分余りの時間でしたがあっという間で、各グループともに時間を惜しむ声があがっており、とても意義な時間になったようです。
所感としては、インクルーシブ校が設置されてからまだ歴史が浅いため、担当の先生方一人ひとりが手探り状態で奮闘されているように感じました。
私たちの身近なところには障害者施設や福祉作業所、養護学校や特別支援学校、そしてインクルーシブ校とあります。それぞれがどのような役割を持ちどのような特色があるのか、そこに通う利用者さんや生徒はどのような人となりで、強みがあるのかなどを知るためには、より相互交流の機会を設けることが重要だと思います。
また、神奈川同友会としても、ダイバーシティ委員会だけの興味・関心にとどまることなく、今回のように支部と連携しながら、地域の抱える課題に向き合うことが大切です。雇用や仕事の切り出しなどを通じ、地域貢献と自社の発展が実現できる取り組みを考えていく必要性も強く感じました。