横浜・川崎・横須賀・小田原・厚木・湘南など神奈川県各地での異業種交流会です。経営の勉強を行い、社員とともに発展する会社を創ります。
神奈川県中小企業家同友会
10:00〜18:00(月〜金)

数字の裏に見える”経営のリアル” ーKDレポートで見るける次の一手

政策委員会

回答した事が無かった景況調査

神奈川同友会では年2回、景況調査(以下、KD レポート。)というアンケートを実施しています。
そもそもKDレポートって? そんなのあったっけ? と「?」マークが出る会員の方も多いのではないかと思います。

私自身同友会に入会してから、「支部の行事や例会等の案内メールがたくさん届くんだなあ」という感じでKDレポートについて知 りませんでした。ちなみにKDレポートは、Kanagawa Doyuレポートの略称です。

KDレポートは誰がやっているの

各都道府県同友会に政策委員会という委員会があり、主に以下の活動をし ています。

  1. 中小企業憲章の学習活動の推進
  2. 中小企業振興条例の進捗状況の調査・把握
  3. 景況調査活動、国や地方自治体への提言・要望活動

この3つを書いただけで何か難しそうです。KDレポートもこれらの活動の一環です。
神奈川同友会の政策委員会では会員へ向けて、

a. 中小企業経営に関わる制度や悩みごと等についてオンライン学習会を開催
b. 上記3.景況調査活動を実施をしています。なかなか「国や地方自治体への提言・要望」までは道のりが険しいです。

KDレポートとは

神奈川同友会の中小企業家の現状を把握するためのアンケートであり地域の統計です。回答する方にとっては自社の経営状況・課題・見通し等や企業外部の経営環境について考えるきっかけになっているかもしれません。

政策委員会としては、神奈川同友会の会員の現況を広く聴き、学習会に役立てています。また、何よりも会員皆様の声として地域の自治体へ、神奈川同友会独自の統計を示し、「中小企業のためにこんな政策が必要ではないか!」という要望を届けたい! という目的をもってアンケートを実施しています。

なお、お預かりしたアンケートは、神奈川同友会の会員でもある日本大学の長谷川英伸准教授に集計やコメントをいただきKDレポートとして年2回メールにて配信しています。

KDレポートから分かることは

次の図は2025年1-3月期KDレポートをA4サイズ表1枚にまとめた内容です。KDレポートはご自身が回答した結果を見ることで様々な「きっかけ」になると思います。

例えば、表の左下段- 経営者保証(個人保証)は、会社で金融機関からの借入れがあれば、会社が返済できないときに、経営者が会社に代わって返済をしなくても良い制度です。この経営者保証が「外れた」と回答した会員は27.2% と4人に1人です。

国は2013年に「経営者保証に関する ガイドライン」を公表し、財務状況等 一定の要件の下で、経営者や事業を引 き継ぐ後継者が会社の借入れを連帯保 証することがないよう金融機関に要請 しています。KDレポートこの結果は 自社もこの連帯保証が外れるよう、ま ずは金融機関とのコミュニケーション を取る「きっかけ」になると思います。

もう一つ、表の左中段- 現在の経営 上の問題点という回答項目があります。原材料をはじめとした価格高騰や人材 に関わる採用・賃上げが、経営上の課  題と回答した会員の割合が多く、コス ト上昇率や賃金を何% 上げる予定な のかの回答も記載されています。

各メディアで頻繁に取り上げられている数字かもしれませんが、神奈川同友会に置き換えたとき、これらの課題に対し会員企業はどのような対策を取っているのか、支部例会等において会員間でコミュニケーションを取る際の「きっかけ」になるのではないかと思います。

「値決めは経営である」という言葉  がありますね。KDレポートから一歩 踏み込んで、周りの経営者がどのよう に値決めをし、価格転嫁をし、利益を 確保しているのか。どのくらいの期間 ごとに価格の見直しを行っているのか。自社だけでなく、得意先や協力会社に も利点があり、社員さんだけでなく地 域へも還元できる値決めになっている か。単に原材料やコストが上昇した分 を価格転嫁しても継続的な利益確保にはならないです。また、社内だけではなくお客様や仕入先等とも定期的に価格について話し合ったり、競合他社の価格調査をしたり、外部環境を把握していなければ値上げはおろか、正しい値決めもできません。

KDレポート

KDレポートの先にあるもの

2025年 7 月に中同協(中小企業家同 友会全国協議会)の定時総会が神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催され、議案書が配布されました。オンライン でも閲覧できます。
>>> 第57回定時総会 議案集

すべて読まなくとも、まずは斜め読みをして自社に関係がありそうな見出しの箇所だけ目を通すことが、経営を変革するきっかけになると思います。

実際の見出しを一部抜粋

  • 主な先進国や新興国の動向
  • デジタル活用で起業の変革を
  • 経営指針の成文化と実践から確立へ -企業変革支援プログラムの活用を
  • 共同求人活動に取り組み、地域からあてにされる企業へ
  • 「共に育つ」理念を深め、実践する社員教育活動を
  • 事業継続に向けた取り組みを
  • 政策要望・提言活動を通じて地域の未来創造を

単に議案というだけではなく中小企業を取り巻く環境が様々な統計に基づいて記載され、その環境において経営を維持・発展させていくために行動すべき事が書かれています。

(例)後継者がいない中小企業の割合 2

  • 議案書掲載 2024年62% で年々上昇(東京商工リサーチ調べ)
  • 中小企業庁 2023年54% で年々下降(中小企業白書)

同じ統計でも調査機関や地域・業種等で結果が変わります。例として挙げた後継者有無については特に地域差が大きく、真逆の結果になっています。たくさんの統計がある中で、どの統 計が自社の経営に役立つのか、より地域性が高いものなのか、私もKDレポートをきっかけに学んでいます。

地域企業としての声を地域の方々へ届けよう

KDレポートは神奈川の各地域企業 の声です。まだまだ回答数は多くありませんが、徐々に回答してくれる会員が増えてきています。
これにより、各地域の自治体を通じて、会員皆様の声が地域の方々へ届き、対話が始まり、地域経済が変化し、中小企業の活躍の 場が拡がっています。

少し前に、「Think global, Act local(地球規模で考え、地域から行動する)」という言葉がありました。KDレポートへの回答をきっかけに、経営に関する事柄を広く捉え、自社や地域のために活かし経営を変革してください。

<文責:フラットパートナーズ会計事務所 代表税理士 平井 慎一郎>