2024年 10月 16日(水)、藤沢商工会館ミナパークに湘南支部の10月例会が開催されました。
地域に愛されるブランド「介護業界の鳩サブレー」を目指す!~ESクレド経営で社員が主役の会社をつくる~というタイトルで、鎌倉で訪問医療マッサージ・鍼灸による在宅機能訓練、通所介護やケアプラン作成まで幅広い介護事業をおこなってる(株)アシスタンス・林秀卓(ひでたか)が報告しました。
報告の中心となった「ESクレド」について、ご説明いたします。
ESとはEmployee Satisfaction(従業員満足)の略で、「従業員の業務内容や給料、福利厚生、職場環境、人間関係など職場における総合的な満足度」を表す言葉です。似たような言葉でよく使われるCSはCustomer Satisfaction(顧客満足)の略で、「企業の顧客が、会社の製品やサービスにどのくらい満足しているかということの指標。」のことです。
また、クレド(Credo)とは、「企業活動が拠り所とする価値観・行動規範を簡潔に表した言葉のこと。ラテン語で「志」「約束」「信条」という意味」です。
つまり、ESクレドは、「従業員満足を高めるための従業員にとっての信条」ということになります。
企業においてESクレドは、サービスプロフィットチェーンを回していくために活用できます。
サービスプロフィットチェーンとは、企業が従業員の満足度を高めることでサービスや製品の質が向上し、顧客の満足度も改善して、最終的に企業の収益が向上する、そして企業の成長がまた従業員に還元されるという好循環をつくるための考え方です。接客業をはじめとする顧客接点が重要となるサービス業で重要視されている考え方ですが、最近は製造業においてもサービスプロフィットチェーンを構築していこうとする動きもあります。
弊社では、ESクレドの作成をトップダウンで行うのではなく従業員にお任せしました。
その手順とは
1顧問社労士と打ち合わせ
・顧問社労士とESクレド作成の手順、当時の社内の状況を確認。
2キックオフ大会
・全従業員を集め、ESクレド作成の意図、手順を伝える。
3成功体験期収集
・全従業員から「私がプロ社員になったターニングポイント」「私が仕事を通して感動したちょっといい話」「私の仕事哲学」「私の会社自慢」の4テーマを各400字以上のレポートとして提出。
4クレド作成委員会で作成作業
・全部門から性別、年齢、勤続年数、役職をばらつかせながらクレド作成委員を任命し、成功体験期から共感できるワードを抽出。ジャンルごとに整理した後に、文言として表しESクレドを作成。なお、クレド作成委員会には役員は加わらず、従業員に作成までの判断全てを委ねた。
5ESクレド発表会
・従業員のご家族まで集めた忘年会の場で、ESクレドを発表。
6未来推進室へ移行
・クレド作成委員会を未来推進室へ改称し、ESクレド運用を託した。未来推進室にも役員は加わることはせず、組織の運営全てを委ねる。
現在、ESクレドは「朝礼での唱和」「コンピテンシーモデルとして目標管理、発揮能力評価といった人事評価に利用」といった形で発展的に運用されています。
また、未来推進室では次々に社内活性化、職場環境作りとして多くの企画が立てられています。現在もメンバーの自由意思に基づいたメンバーの選定や変更をおこないながら活動が続いています。未来推進室が生み出した活動は、
・サンクスカード
・忘年会
・BBQ
・親睦会
・ビーチクリーン
・利用者様への敬老の日プレゼント
・他事業所との交流目的のスポーツ大会
・社内報発行
・Facebook、Instagramの開始
・ペットボトルキャップ、インクカートリッジ、使用済み切手の収集
など多岐にわたり、社員交流および風通しの良い組織の実現に取り組んでいます。
ESクレド経営に舵を切ったことで、社内の状況も変わってきました。
主な効果は
・従業員定着率の改善。(離職した従業員が戻ってくることもありました!)
・子育て世代が働きやすい職場の雰囲気の醸成など他の従業員を思いやる文化の創造。
・地域の連絡会等で従業員が要職を担い、「社長の人脈」が「従業員の人脈」へ変化し
地域での会社の知名度、存在感が向上。
などがあげられます。
会社が大切にしたい経営理念やビジョンを浸透させるためには社員の自己実現の思いや夢を可能な限り経営方針と同期させ取り込んでいくことが不可欠だと思います。会社の経営方針のベクトルと社員の思いのベクトルを合わせていく社内文化の醸成が大切だと思います。社内文化の形成について思案中の企業様におかれましては、ESクレド経営もぜひご検討いただければ幸いです。
湘南支部の例会では、このようなことも学べます。
(文責 (株)アシスタンス・林秀卓)
【 湘南支部例会 】
毎月第3水曜日 18:30-21:00
商工会館ミナパーク会議室 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢607-1 JR藤沢駅 徒歩5分
過去の開催の様子もご覧いただけます
【 第3回 】湘南経営道場
日 程:未定
テーマ:未定
対 象:神奈川県中小企業家同友会 会員
第1回 経営者のための自己理解講座
第2回 組織で取り組む経営者のためのクレーム対応と予防策