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神奈川県中小企業家同友会
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【ダイバーシティ委員会・用語集】障害者の就労における「オープン」と「クローズ」とは?

ダイバーシティ委員会は、例会内で専門的な用語が登場することもあり、簡単な用語集を作成しました。本記事では、障害のある方が就労する際、障害を明かす(オープン)場合と、明かさない(クローズ)場合のメリットとデメリットなどを解説します。

障害の「オープン」「クローズ」の違いとは?

オープンとは、障害者手帳を持つ方が障害を開示(オープン)して就職活動を行う枠組みです。そのため、オープン就労などと呼ばれます。一方の「クローズ」は、自身の障害を明かすことなく健常者と同様に就職活動を行う形になります。

クローズの場合は自身に障害があることを伝えないことで、職場での配慮が受けられない可能性がありますが、障害者枠にとらわれず健常者と同じ市場で就職活動ができます。そのため、応募できる企業の数など選択肢が広がるメリットもあります。

障害者枠では、企業からのサポート体制が整っており、職場環境や配慮事項が共有されやすい特長があります。ただし、障害者採用自体が、一般の求人市場と比較し少ないため、応募できる企業や職種が限定されることもあります。一般枠では、周囲が障害のことを認識していないことから配慮は期待しにくいものの、幅広い業界や職種に挑戦できる利点があります。自分の障害の程度や働き方に合わせて、どちらの枠で就職活動を行うか検討することが重要です。

オープン就労とは?障害をオープンにして働くこと

オープン就労とは、障害を企業に開示して働く形態です。いわゆる「障害枠」にあたり、企業は合理的配慮を提供し、働きやすい環境を整えてくれます。また、同僚の障害についての理解も得やすくなるでしょう。一方、クローズ就労は障害を開示せずに一般枠で働くため、周囲からの障害に対する配慮を受けにくい可能性があります。そのため、自分の状況や希望に応じて、オープンとクローズのどちらが適しているかを検討し、最適な就労形態を選択することが重要です。

クローズ就労とは?障害を開示せずに働くこと

クローズ就労とは、障害を企業に開示せずに一般枠で働く形態を指します。企業は2.5%(2024年現在)の法定雇用率を満たす義務がありますが、クローズ就労の場合は障害者であることを明かさないため、この枠に含まれません。障害をクローズにしたまま就労することのメリットは、周囲から特別視されずに働け、キャリアの幅も広がる可能性があることです。一方で、職場での合理的配慮を受けにくく、自身の特性を理解されないことがストレスにつながる可能性もあります。また、障害に起因するパフォーマンスの低下があった場合、理解されないことで評価に影響することも懸念されます。クローズでの就労を希望する場合は、慎重な検討が必要です。

オープン就労のメリットとデメリット

オープン就労のメリットは、自身の障害を開示することで、適切な職場環境やサポートを受けられる点にあります。一方、デメリットとして、雇用形態や定期昇給、キャリアアップの機会が限定される可能性、障害者雇用の経験が浅い企業では理解が得られにくいといったことが挙げられます。また、障害特性や企業の状況によるものの、業務内容が限定されるケースもあるでしょう。

オープン就労のメリット

オープン就労の最大のメリットは、職場でのサポートが受けやすい点です。障害者手帳を持つ方は、企業から合理的配慮を受ける権利があります。そのため、業務の調整や環境の改善が期待できでしょう。オープンにすることで、周囲の理解を得やすく、長期的なキャリア形成も可能になります。

オープン就労のデメリット

オープン就労のデメリットとして、障害者雇用に対する理解が不十分な企業では、同僚の理解不足や合理的配慮が行き届かないケースも存在することです。また、支援体制が整っていない環境では、職場適応が難しくなることもあります。その結果、キャリア形成に影響を及ぼすことも考えられます。さらに、給与や昇進の面で一般枠と差が生じる場合もあり、注意が必要です。

クローズ就労のメリットとデメリット

クローズ就労のメリットは、障害を開示せず一般枠で働くため、求人の幅が広がり、給与や昇進で平等に扱われやすいことです。一方、デメリットとしては周囲は障害があることを認識していないため職場での配慮が受けられず、体調不良時などで理解が得にくいことがあります。さらに、障害を明かさないことでストレスが蓄積し、勤務に支障をきたすリスクもあります。

クローズ就労のメリット

クローズ就労のメリットは、障害を開示せず(クローズ)に一般枠で就労できる点です。これにより、オープンでの就労と比べて、他の社員と平等な条件で評価され、キャリアアップの機会が広がります。また、職種や企業の選択肢が増え、自分の希望に合った働き方が可能です。また、クローズ就労者の平均年収は、オープン就労者よりも高い傾向にあります。しかし、障害を明かさないことで企業から「合理的配慮」を受けられないリスクもありますので、メリットとデメリットを理解した上で選択することが重要です。

クローズ就労のデメリット

まず、クローズ就労のデメリットとして、障害があることを職場に開示しないため「合理的配慮」を期待しにくい点が挙げられます。必要なサポートが得られないことや、障害を隠すことによるストレスがメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も否定できません。さらに、周囲と同様の働き方が求められるため職場環境が障害に適していない場合、業務遂行が困難になることがあります。

一般枠でのオープン就労について

一般枠でのオープン就労は、障害を開示して一般の採用枠に応募する方法です。これにより、自分の能力や適性を企業に正直に伝えることができ、適切なサポートを受けやすくなります。一方で、健常者と同じ採用テーブルで選考されるため競争倍率が高く、採用のハードルは上がるでしょう。

合理的配慮とは

合理的配慮とは、企業が社員個々の障がいの特性や状況に応じて柔軟な対応をすることです。障害を開示(オープン)して就労することで、社員は合理的配慮を受けられることができます。また、企業側は障害者差別解消法に基づき、適切な配慮を行う義務があります。

一方、クローズでの就労となると、障害を開示しないため、合理的配慮を受けられない可能性もあります。その結果、職場環境に適応できず、パフォーマンスが低下するリスクもあるでしょう。自分の状況に合わせて、障害の開示・非開示を慎重に検討し、最適な雇用形態を選ぶことが大切です。また、企業の合理的配慮の実施状況やサポート体制も事前に確認することが望ましいでしょう。

まとめ

障害当事者にとってオープン就労とクローズ就労の選択は悩ましいものです。オープン就労では、企業からのサポートや職場での配慮が期待できますが、給与やキャリアパスに制限がかかる可能性もあります。一方、クローズ就労では、障害を開示せずに一般枠で働くため、配慮は期待できない一方、実力で評価されればキャリアアップなどの機会が増えるでしょう。自身の状況や希望に応じて、どちらが適しているか慎重に検討することが重要となります。