2024年初めての例会は、毎年恒例となった県南支部と合同での「新春例会」を開催しています。記念すべき開催10回目の今回は、京都同友会から石井雄一郎氏(有限会社グラン・ブルー 代表取締役)をお招きしました。
当初、石井さんは会社の売上が安定していることから、経営は順調であると考えていました。しかし、優秀な社員の退職が続きます。退職理由を聞くと、経営に対するビジョンが不明瞭であることが問題だと気付きました。そこで同友会の赤石塾に参加し、「人を生かす経営」について学び、経営指針書の作成を決意しました。
自らがどのような経営を志向しているのか、その方向性を明確にし社員に示すことが重要であると語られていました。経営者の信念や価値観を具体的な行動で表現することで、組織の一体感を作ります。社員は経営者の考え方に共感し、経営理念に沿って主体的に行動することができるようになったそうです。
また、石井さんから「宿命」「運命」「使命」の3つの命を知ることの重要性についてのお話しがありました。自らの存在について考え、事業を継承している背後にある思いや経緯を理解します。そしてこれまでの人生や経験を今後どのように活かしていくのか、その目的を明確にすることが求められます。
なぜ事業に取り組むのか自問自答を繰り返し、石井さんは3年かけて経営指針書を完成されました。すると、経営理念に共感した人たちが自然と集まりより一層組織が強固になったことで、さらなる事業展開へと繋がったそうです。
石井さんは同友会の障害者問題委員会に所属したことをキッカケに、障害者実習の受け入れを始めました。最初はしぶしぶながら取り組んでいましたが、幼少期のとある経験を思い出したことでその思いは大きく変化していきました。
石井さんは幼少期の時、出入り禁止されていた工場に立ち入ったことで大火傷を負ってしまいました。身体に大きな傷跡が残ったため、プールの授業の際は傷跡を見た同級生たちから冷やかしを受けました。それでも傷跡を隠さずに「これが自分だ」と堂々と受け入れた結果、周りも徐々に理解してくれるようになりました。さらに、事情を知らない他クラスから冷やかしを受けたときも、同級生たちが守ってくれたそうです。
自らが周りや友人に守られた経験から、なにか恩返しを行いたいと考えました。この思いから、誰もが笑顔で暮らせる地域社会をつくることを自身の使命とし、障がい者支援への積極的な取り組みをスタートさせました。
事業拡大と障がい者支援に力を入れる石井さんは、会社の10年後のビジョンとして「ぐららんど」について語ってくださいました。「ぐららんど」は地域の障がい者と企業が協力し、京都のお菓子や文化を全国に発信することが掲げられています。
東日本大震災やコロナ禍など多くの困難がある中、この10年後のビジョンを達成するために、就労継続支援A型事業所とともにアニメとコラボした新たな商品開発の成功や嵐山活性化事業など、地域貢献にも積極的に取り組んでいかれました。その後、より障がい者が働きやすい環境をつくるため就労継続支援B型事業所へ転換をし、京都で1番の平均工賃を達成されました。
石井さんの話を受けて、後半はグループに分かれテーマについて話し合いました。
3つのグループから発表があり、以下の方法が挙げられました。
地域と社員を笑顔にする「人を生かす経営」の理念を掲げた石井さんは、赤石塾で学ばれた経営についての考え方を次の方に伝えていくとこも重要だとお話されていました。多様性を認め、よりより社会を目指すことで事業の拡大にも繋がるのだと感じることができました。
2024年2月23日(金・祝)に小田原で開催する「第1回 雇用創造フォーラム(通称:みかさんフォーラム)の参加申し込みが始まりました!開催まで3週間を切り、現在各分科会で報告の準備を進めているところです。
ただいま、参加申し込みを受け付けしています。分科会によってはすぐに定員になってしまいますので、お早めに!(^^