2022年10月23日の日曜日(!)14:00~、オールZoomでダイバーシティ委員会10月例会を開催しました!今回は“第六回風穴プロジェクト”ということで、当事者任意団体OMgray事務局との共催です。当日は、普段クローズ就労(自身が、障害があることを開示せず、一般企業で就労すること)で事務職をしているシュウ(ハンドルネーム)さんと、同友会企業で働く当事者社員さんに登壇していただきました。
「風穴プロジェクト」は数年前から定期開催されているプロジェクトです。以前は東京で開催されていましたが、最近は神奈川同友会の年1度のイベントとして、当事者に登壇していただいています。当日は、まちふく・田中博士座長の挨拶を皮切りに、当事者任意団体OMgrayのシュウさん(ハンドルネーム)と、神奈川同友会川崎支部の日崎工業株式会社の社員さんに報告していただきました。
トップバッターを務めたシュウさんからは、自身の特性をもとに、配慮してもらっていることに限らず、配慮することで会社に貢献できる点がたくさんある、配慮があれば配慮を一方的に受けるだけでなく企業側にも大きなメリットがあることなどのお話がありました。具体的には、作業や普段の様子を見守ってもらえることや、経験を積むことで成果が出るようになる。気軽に質問できるベテラン社員などが周囲にいると良い、といった内容でした。
また、企業が障害当事者に過剰な能力や成果を求めること、一方の当事者が企業や健常者の社員に過剰な支援・配慮を求めることは「どちらも意地悪で、自己中心的」であり「搾取」ではないか、といった意見はとても参考になるものでした。
続いて登壇した日崎工業の社員さんは、自身の経験から当事者に求めることとして、挨拶ができること、元気なことを取り上げていました。なぜなら、挨拶ができ、元気であれば周りも元気に明るくなるためです。実際に、過去に日崎工業に勤めていた当事者の社員(現在は退職)を、人間として嫌っている人はいなかったそうです。
また、オープン(障害があることを開示、障碍者手帳を保持していることを知らせること)か、クローズかという点では、オープンで入社してくれたほうが準備や対応がしっかりできるというお話がありました。オープンのほうが、仕事の準備や周囲の社員に特性を知ってもらえやすい。そして、入社後も特性について話し合う機会が持てもっと適切な対応ができたのでは、という自身の反省を含めてのことでした。
さらには、自身が部下に当事者を持った経験から当事者への要望として、報連相をしっかりしてもらいたいこと、ミスをしてしまったときなどは特に報連相が大事になること、言葉で伝えることがより大事で言葉で伝えないとお互いに認識がずれてしまうことなどがあるといったお話がありました。
そのうえで、どう接したいか、どう働いてほしいかについて会社と十分話し合うこと、それでうまくいくかは分からないけどコミュニケーションを取ってミスマッチを減らしていくことが大切、いいところ、悪いところは誰にでもある、良いところを生かして、輝ける場所で働いてほしいと思っている、といった盛りだくさんの内容でした。
続いてのグループ討論では「どうすればお互いが働きやすくなるか」といったテーマで、経営者と障害当事者がZOOMのブレイクアウトルームに分かれ、1時間にわたって意見を交わしました。
各グループ熱量の高い話し合いで1時間があっという間!グループ内では、信頼関係を築くことが重要であること、受け入れる企業側に意識の変化や柔軟性が求められること、雇用や仕事を指示するうえで目的を一致させると成功しやすい、会社からの配慮を受けるだけでなくお互いの歩み寄りが大事といった意見がありました。
そして、「障害当事者」という言葉が使われていることについて「当事者とは誰なのか?」との投げかけもありました。昨今では障害のある人や社員を「障害当事者」「当事者社員」と表すことが多々あります。便宜上生まれた言葉のように思いますが、本来の当事者の意味は「関係している人」のことです。そうであれば、雇用する側の経営者や、障害のある社員を迎え入れる周囲の社員も「当事者」です。それぞれが当事者意識を持って関わり合うことが、“風穴”が少しずつ広げることにつながるのだと思います。
通常の例会のグループ討論は、30分前後が多く1時間も設けることは稀です。ただ、当日のグループ討論は意見が尽きることなく、1時間があっという間でした。
日曜日のお昼開催にもかかわらず40名以上が参加し、今回も熱量高いまま終了した「風穴プロジェクト」ですが、毎年恒例のイベントとして神奈川同友会ダイバーシティ委員会として開催しています。来年度の開催時期は未定ですが、経営者と障害のある方が直接交流できる貴重な場として今後も盛り上げていきたいと思います。