2022年11月17日に開催された、第34回かながわ経営カンファレンス・第5分科会にてダイバーシティ委員会のメンバーが多数登壇しました。
報告者:株式会社フェアスタート 代表取締役 永岡哲平氏
有限会社 川田製作所 代表取締役 川田俊介 氏
株式会社Woo-By.Style 代表取締役 野村美由紀 氏
ファシリテーター:川崎FM 代表取締役大西絵満 氏
会場:ホテル精養軒
参加者:50名
3人のパネリストが、多様性を認めた雇用の実現に向けた取り組みの中から、ダイバーシティ雇用の具体的な成功事例、失敗事例、直面している課題などについてご報告いただきました。また、最近の若者のトレンドや働き方については、川崎FMの大西社長にお話しいただきました。
日本の中小企業の雇用問題については、人口減少により採用自体が難しくなることが予想されています。雇用することも大切ですが、すぐに退職してしまっては意味がありません。「いかに定着してもらえるか」が重要な課題でもあります。パネリストの皆さんの会社では、どのようにして社員の働く環境を整えているか?また、多様な人材をどのように活用しているのかを具体的にお話しいただきました。
短時間雇用の場合、国の制度では社員の保障が守れない問題が発生したそうです。そこで考えたのが、民間の保険に加入し社員を守る制度を導入してみたり、業務を2名体制から3名体制に変更し、より柔軟なコミュニケーションと業務分散型で取り組んでみたりと、その人の特性に合った働き方を推進していました。指示するのではなく提案を促すような心温まる様々な工夫が盛り込まれていました。
高齢者の雇用などは、あえてITを高齢者に教育し在宅でも仕事ができるようにしたり、労働時間に対しては、ライフスタイルの時間に重きを置く方には、残業をなるべくさせないようにしたり、「たくさん稼ぎたい!!」という方には、優先して残業をお願いしたりと、個々にあった働き方を推進していました。仕事内容に応した雇用ではなく、個々の多様性を活かした働き方を推進していました。
報告者に共通して言えることは、冒頭の「いかに定着させるか?」が先ではなく、社員を「信頼できるパートナー」として接し、属性などは関係ないという考え方が、雇用の定着を生んでいるように感じました。
多様性とは、性別、国籍、年齢といったわかりやすい属性の話ではなく、経営者自らが歩み寄ろうとする想いや、多様な考え方や視点が大切なんだと気づきました。結局のところ頭でわかるのではなく、体で理解することなのかもしれません。
中小企業の強みのひとつに、社員と社長の距離が近いことにあります。やる気のある社員には、勤続年数に関係なく新人でもプロジェクトを任せてもらえたりと、多様な人材を競争優位の源泉として生かしていく経営は、大企業では想像できない取り組みではないでしょうか。
企業規模ではなく、会社の風土や社長の人柄で人材が集まってくる時代がやってきます。人材の定着や採用などを社員と共に考え、このような雇用事例をもっともっと多くの方に知ってもらい、ダイバーシティへの理解が益々深まることを願っています。