2022年11月17日に行う神奈川同友会のイベント、かながわ経営カンファレンス(略称:かなカン)で特別報告をお願いしている(株)宮崎本店の宮崎由至会長を9月13日に表敬訪問しました。
(株)宮﨑本店は三重県四日市市にあり、酒類製造販売を行っている創業176年の会社です。キンミヤ焼酎が有名で、神奈川県内の居酒屋でも置いているところが多く、キンミヤ焼酎をホッピーで割ると美味しいです。(両社とも同友会会員なので、「同友会割り」と呼ばれています)
宮﨑会長は三重同友会の初代代表理事や各種経済団体の要職を務められた方で、お話しが面白く、ついつい引き込まれてしまいます。
今年のかなカンのテーマは「未来へ繋がる経営が今日から始まる、100年先まで持続可能な経営を考える」で、特別報告では長く会社を維持発展されてきた歴史、経営者として考え実践してきたこと、将来に向けての展望をポイントととしてお話をうかがいました。
・鈴鹿山脈の名水が地下水として流れている地、最盛期は35社の焼酎製造会社があった
・安い輸入酒類の影響で多くが撤退し、宮﨑本店1社だけが残った生き残り戦略は年間売上同等の巨額設備投資による大幅なコストダウン
・キンミヤ焼酎は粘り強いブランド戦略継続でブレークし全国区に現在は海外からの注文も多い
・超軟水を使用したキンミヤ焼酎は商品力はあったが販売には苦戦価格を値下げせず地道な居酒屋への営業活動を継続。ボトルのままエンド客に提供できるよう容量を変えた商品を品揃えし、キンミヤ焼酎が徐々に認知されていった。
・清酒「宮の雪」は最新工場でも小規模生産ラインとして製造から販売までの時間を短縮し、輸送は冷蔵トラックを使用して清酒の鮮度を保つ工夫でブランドを維持している
・宮﨑会長曰く、ブランドには何種類かある大量生産で低価格を追求するナショナルブランドに対して、客数は少ないが値下げしなくても指名買いしてもらえる戦略。中小企業は後者を選択すべき。
・値下げ前提の大手スーパーとの取引きをやんわりと断った。ブランド維持のため。値下げしないキンミヤ焼酎は特約店が売りやすい商品でもある。価格競争に巻き込まれない。
・中小企業には「ニッチ」は広すぎる。小さな市場を少しずつ育てて大きくする
組織、資金、歴史の承継も伴って事業承継となる(株)宮﨑本店は10年計画で事業承継を実施した。
承継を受ける新社長を含んだ新ボードメンバー候補も作って受け渡す。ボードメンバーが従来のままで社長交代だけしても新社長の力を発揮できないし、10年後にはボードメンバーが定年退職しているかも。
過去の歴史が新社長の助けになる。
キンミヤ焼酎がブレークしたのは「たまたま」と謙遜して笑顔で受け答えされていましたが、ブランド戦略を愚直くに続けて来られた結果だという事と、それを支えていたのは同友会で出会った先輩経営者からの学びであった事がお話を聞いていて良くわかりました。
2022年11月17日、武蔵小杉のホテル精養軒にて宮崎会長が登壇されます。会場だけでなくzoom参加もできます。